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レニー・トリスターノ 『鬼才トリスターノ』 Lennie Tristano “Lennie Tristano” 186


1940年代後半から50年代前半のビバップの流れから、より静的なクールジャズが生まれます。これは、その代表的な一枚。盲目のピアニスト、レニー・トリスターノは独自の理論を実践した音楽家で、その門下からはリー・コニッツ(as)などを輩出します。このアルバム『鬼才トリスターノ』は、前半のラディカル(急進的)な演奏と後半のオーソドックス(正統的)な演奏が、――レコードの表裏にあるA/B面とは言えども――まったく異なる大胆な対蹠的(正反対の)構成。#1 “Line Up”、#4 “East Thirty-Second” はドラムとベースを先に録り、後でピアノの速度を速めて録音、#2 “Requiem”、#3 “Turkish Mambo” はピアノの多重録音というモダンジャズにおいては革新的手法。そのフラットでミニマムな音が連続する人工的な構築美に、張り詰めた気迫がこもる不可思議さ。#5 “These Foolish Things” からは打って変わり穏やかな演奏で、ウエストコーストジャズへの潮流を感じさせます。


1. Line Up
2. Requiem
3. Turkish Mambo
4. East Thirty-Second
5. These Foolish Things
6. You Go To My Head
7. If I Had You
8. Ghost of a Chance
9. All The Things You Are


Lennie Tristano (p)
Peter Ind (b)
Jeff Morton (ds)
Lee Konitz (as)
Gene Ramey (b)
Art Taylor (ds)
Recorded 1955


クールジャズ名盤


Birth of the Cool / Miles Davis (1950)
「クールの誕生」 ジャケットは劇画風ですが、穏やかにクールな初期マイルス


Subconscious-Lee / Lee Konitz (1949,50)
師レニー・トリスターノ音楽理論の実践、トリスターノも参加


Quartets / Stan Getz (1950)
かすれたような、それでいて丸い音色がなんとも魅力的