ジェリー・マリガン 『ナイト・ライツ』 Gerry Mulligan “Night Lights” 027


「ナイト・ライツ」……ぼうっと滲むような暖かい灯りなのでしょうか。こんなにも優しくゆったりとしたアルバムは、ありそうでいて、なかなかめぐり逢えません。バリトンサックス奏者ジェリー・マリガンのピアノも聴ける#1 “Night Lights (1963 Version)” 「ナイト・ライツ」、有名曲#2 “Morning Of The Carnival From Black Orpheus’” 「カーニヴァルの朝」、静かに続く#3 “In The Wee Small Hours Of The Morning”、クラシックの#4 “Prelude In E Minor” 「プレリュード・イン・Eマイナー」……ラストトラックまで、ただこの優しい抱擁に身をまかせるだけでいいのです。

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デイヴ・ブルーベック 『タイム・アウト』 Dave Brubeck “Time Out” 030


#3 “Take Five” 「テイク・ファイブ」は、1987頃にタケダのアリナミンVドリンクのCMで使われ有名になったようです。なので、この曲はある年齢以上の方々には、潜在的にすり込まれていると思われます。でも、こんなにも鮮明に耳につくジャズも珍しい。#1 “Blue Rondo A La Turk” 「トルコ風ブルーロンド」をはじめ全曲、ミロの絵画のように変化に富んだ音の舞踏を楽しめます。

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チェット・ベイカー 『チェット・ベイカー・シングス』 Chet Baker “Chet Baker Sings” 032


ジャズ界きってのいい男、ちょっと新庄似のチェット・ベイカー。彼はトランペッターですが、甘く囁きかけるようなボーカルでかもし出される雰囲気には、独特の世界があります。#10 “My Funny Valentine” 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は名唱。ほとんどの曲がゆったりと少し上ずるような声でやさしくあなたを愛撫。女性はメロメロでしょう。

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スタン・ゲッツ 『スタン・ゲッツ・プレイズ』 Stan Getz “Stan Getz Plays” 077


明るく穏やかでふくよかなテナーの音色は、BGMとして最適と言ったら怒られるでしょうか。でも、聴いていると心地よい演奏であることには間違いありません。1950年代、アメリカ東海岸の黒人を中心としたアーシーなジャズに対し、西海岸で白人を中心としたクールで爽やかなジャズ ムーブメントが、ウエストコースト ジャズ。本作は、「クールなのに暖かい」と言われる、その代表的な1枚です。ちなみにピアノはデューク・ジョーダン。

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アート・ペッパー 『モダン・アート』 Art Pepper “Modern Art” 078


綱渡りのような危ういアルト――アート・ペッパーの演奏は、穏やかな中にも激しさを秘め、安堵と緊張、明るさと陰り……対極にあるべきものが共存しているようで、思わず惹きつけられます。彼の人生は、アルトと麻薬なしには語れませんが、彼自身が創造と破壊を内包した存在だったのでしょうか。アート・ペッパーにしか出せないナイープで深遠な音色に魅了されずにはいられません。

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