バド・パウエル 『ザ・シーン・チェンジズ』 Bud Powell “The Scene Changes” 009


うなってます。うなってるんですよ、ピアノ弾きながら。最初聴いたとき、衝撃でした。恥ずかしながら告白いたしますが、これ以来私、うなり声フェチとなってしまいました……。キース・ジャレットも捨てがたいですが、やはりバド・パウエルのうめき、たまりません。ジャズはパッションの表出なのです。全曲彼のオリジナルで、#1 “Cleopatra’s Dream” 「クレオパトラの夢」は名曲。#5 “Borderick” は何とも愛らしい。ジャケットで、後ろからちょこっと顔を覗かせているのは彼の息子らしい。

このページを読む →


レッド・ガーランド 『グルーヴィー』 Red Garland “Groovy” 017


かつてはプロボクサーという変わった経歴をもつピアニスト、レッド・ガーランド。彼の軽快にコロコロと転がるタッチは、ジムで鍛えられたのでしょうか。ここに収められた演奏は、まさに「Groovy」(グルーヴ感のある、高揚感がある、イカす)。肩肘張らずに気軽に楽しめるそんなピアノトリオ・アルバムです。

このページを読む →


オスカー・ピーターソン 『プリーズ・リクエスト』 Oscar Peterson “We Get Requests” 019


華麗なるピアノトリオ盤。ファンのリクエストから選ばれたという人気曲の演奏です。難解になりがちなジャズ界にあって、圧倒的なテクニックを用いながらも親しみやすいエンターテイナー、オスカー・ピーターソンに拍手!#6 “You Look Good To Me” 「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」のロマンティックな表現とドラマティックな展開に、うっとりと夢心地に誘われます。特にジャズビギナーの方におすすめします。

このページを読む →


ソニー・クラーク 『ソニー・クラーク・トリオ』 Sonny Clark “Sonny Clark Trio” 043


いきなり、たたみかけるピアノの銃弾にやられてしまいます。でも、よく弾むタッチはあなたをむしろ元気にするでしょう。ジャケットの鍵盤も鮮烈に美しい。彼はジャケットに恵まれました。おなじみの#2 “I Didn’t Know What Time It Was” 「時さえ忘れて」、#5 “Softly As In A Morning Sunrise” 「朝日のようにさわやかに」、#6 “I’ll Remember April” 「四月の思い出」も収録されていて親しみやすいアルバムです。彼のピアノは角のとれたまるいトロトロした音色で、どことなく哀愁がありとても魅力的。でも彼は本国アメリカではあまり評価されなかったようです。彼の才能、魅力を理解し、今もってこよなく愛しているのは、日本のジャズファンだと言われています。

このページを読む →


ジュニア・マンス 『ジュニア』 Junior Mance “Junior Mance and His Swing Piano” 047


赤いセーター姿のジュニア・マンスは、ピアノを弾くともなく弾いているといった風情で、目もうつろ。でも心の内にゆらめく炎のような情熱が、そこはかとなく感じられます。内容の印象もそのままで、派手さはありません。でも華はあります。強烈な演奏はありません。ただ全曲聴き心地がよいのです。こういうもの程よく聴いてしまうもの。普段着でゆったりくつろいだまま楽しめる、そんな名盤です。

このページを読む →