バド・パウエル 『ザ・シーン・チェンジズ』 Bud Powell “The Scene Changes” 009


うなってます。うなってるんですよ、ピアノ弾きながら。最初聴いたとき、衝撃でした。恥ずかしながら告白いたしますが、これ以来私、うなり声フェチとなってしまいました……。キース・ジャレットも捨てがたいですが、やはりバド・パウエルのうめき、たまりません。ジャズはパッションの表出なのです。全曲彼のオリジナルで、#1 “Cleopatra’s Dream” 「クレオパトラの夢」は名曲。#5 “Borderick” は何とも愛らしい。ジャケットで、後ろからちょこっと顔を覗かせているのは彼の息子らしい。

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デクスター・ゴードン 『アワ・マン・イン・パリ』 Dexter Gordon “Our Man in Paris” 085


ぶっきら棒なテナー、ドラムはせわしなく落ち着かず、バド・パウエルのピアノは何故か弱々しい。でも、妙なアンバランスさと荒削りな演奏は不思議なインパクトで聴かせます。デクスター・ゴードンとバド・パウエルは、50年代に麻薬に苦しみ、60年代のこの時期は共にヨーロッパに身を寄せ、心機一転復活を遂げます。つらい時期を経験したせいでしょうか、このアルバム、聴き込むと何か超越した凄みを感じさせます。#7 “Like Someone in Love” 「ライク・サムワン・イン・ラブ」のテナーなしのボーナストラックはとてもいいんだけど、これってあり?

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バド・パウエル 『ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1』 Bud Powel “The Amazing Bud Powell, Volume One” 118


ブルーノートのバド・パウエルがいいんです!ビバップピアノの巨人バド・パウエルですが、RouletteやVerveなどのレーベルにも多くの傑作を吹き込んでいます。でも私が好きなのはBlue Noteのバドなんです。卓越した芸術性や繊細な表現以上に何か人を驚かせてやろうというような楽しさに溢れていて、そのエンターテイメント性のある演奏がいいのです。本作は前半がクインテット、後半がトリオと2つの編成による演奏が収録されています。前半のハードバップでは、ファッツ・ナバロのブリリアントなトランペットと素敵に転がりまくるバドのピアノが魅力的。ソニー・ロリンズのテナーも演奏に厚みを加えます。後半のピアノトリオでは、コミカルなネーミングの#12 “Un Poco Loco” 「ウン・ポコ・ローコ」が有名でしょうか。キレがあってコクもある。なんだかビールのようですが、本領を発揮したバドは爽快な気分にさせてくれること間違いなし。Blue Noteのプロデューサー アルフレッド・ライオンがプロデュースしたかった「Amazing」(驚くべき、すごい)なバドがここにいます。

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