紳士的ですらりと長身な三人がスマートに調和するトリオ――スピードを感じる心地好いグルーブ感。手に汗握るスリリングな演奏というよりも身を任せて浸りきれるような完成度の高さ。このステージでは初めての曲でも十分に楽しめます。とは言うものの聴きたかった曲がいくつかありましたが……。アンコールを4回応えていただいたので、まぁ良しとしましょう。“Knives Out” のイントロ、あまりのカッコよさにゾクゾクしました。
このページを読む →
カテゴリー: ※ジャズコンサートの記録
上原ひろみ~Hiromi’s Sonicbloom JAPAN TOUR 2007 タイムコントロール 東京公演
Hiromo’s Bomb! Hiromi’s Sonicbloom(Sonicbloom:《植物の成長を早める》特殊な音波)の凄まじい放射。まるでキングクリムゾンのような怒涛の大爆音サウンドは、「あぁやっぱりこれがやりたかったんだ」と納得させてくれ、最上のカタルシスへ誘ってくれました。今回のライブの立役者はデビット・フュージョンスキー(g)でしょう。場数を踏んでいるせいかライブ慣れしており、客をノセたり、音色豊かな圧倒的なプレイを披露したりと大活躍でした。今回のツアーを経ての次回のアルバムが楽しみ。MCでの謙虚に繰り返す「ありがとう」の言葉と涙が印象的でした。最後の数曲は東京国際フォーラム(大ホール)の聴衆が総立ちになったことも付け加えておきます。
このページを読む →
上原ひろみ ASIA TOUR 2006
そのピアノから発せられるサウンドが求心力となり、壮大なスパイラルを巻き起こす――上原ひろみは才気と若さとしなやかさで聴衆を魅了しつくし、退屈している人なんてありえない超一級のエンターテイメントを繰り広げます。アルバムを徹底的に作り込んでいる彼女ですが、コンサートは勿論CDの再現などではなく、また安易に崩すことなく完成度の高いライブバージョンとして楽しませてくれます。それにしても凄まじい集中力。時に繊細に優しくメロディーを奏で、時に拳や腕を鍵盤に激しく叩きつけ、スピードと構成力を武器に圧倒的な磁力で惹き込まれます。饒舌なピアノとは対照的にMCはたどたどしく、そこがまたキュート。もはや「上原ひろみサウンド」に欠かすことのできなくなったトニー・グレイのメロディアスなエレクトリックベースの響きが心地良い。マーティン・ヴァリホラのドラムスは後半へ向かってどんどん調子を上げていきます。「クリスマスプレゼント」として特別ゲストの熊谷和徳が登場。何と! 超高速チューン “Dancando No Paraiso” でタップダンスします! 足で奏でるその音楽は積極的にインタープレイし、ジャズしていました。途中、メンバーも一人ずつ登場し演奏を重ねるなどの演出もあり、曲の流れなどコンサートの構成も良く、贅沢な聖夜のショーとなりました。
このページを読む →
Keith Jarrett Solo 2005
「Everybody Cough, Now!」(皆さん、咳《せき》は今して!)――集中力を欠いた日本の聴衆へ向かって、演奏を中断したキース・ジャレットが訴える。2005年10月14日、東京芸術劇場大ホールでのソロコンサート。客席から演奏直後の余韻を打ち消すような拍手、咳など(携帯も鳴ってたかもしれない)、静寂を保てない聴衆に対し、キースは苛立ち、結局2度に渡って演奏を中断する場面がありました。終始落ち着かない観客とは裏腹に、キースの演奏は、時折自然と浮き上がるように中腰で立ち上がったり、身体を左右にゆすったり、足を踏み鳴らし、ピアノ弦と共鳴するようなうなり声を発しながら、全身から音を搾り出すような圧倒的な演奏でした。オペラグラスを覗いて見ると、演奏中サングラスの奥の目は閉じられたまま。自分の内面に没頭するかのようでした。即興で2時間に渡るたった一人の演奏は「Very Hard」なものでキースの強靭な集中力と完璧な素晴らしさに対して、ホール内のそわそわした空気が残念で、わだかまりを残すコンサートとなってしまいました。
このページを読む →
オスカー・ピーターソン in Japan 2004 Opening act 上原ひろみ
Opening act 上原ひろみ
2004年10月4日。この日は待ちに待ったオスカー・ピーターソンのコンサート。定時より少し遅れての開演。オープニングアクトは上原ひろみ。スレンダーな身体にフィットした黒いスパッツ姿、ふわっとふくらんだ髪の毛で登場し、そのままピアノの前に軽く座ると、いきなりスリーピースのロックバンドのように大音量で「XYZ」。あまりの超絶技巧にそこで弾いているのが嘘のよう。そして猫のようにしなやかに身体を弾ませ演奏するその姿は、まるで官能的なダンス。メロディアスな印象のアルバム『Brain』からの選曲がほとんどでしたが、ライブでは圧倒的な迫力で惹きつけ、その後のオスカー・ピーターソンの登場を一時忘れさせました。
このページを読む →