Keith Jarrett Solo 2005


Kieth Jarrett Solo 2005


「Everybody Cough, Now!」(皆さん、咳《せき》は今して!)――集中力を欠いた日本の聴衆へ向かって、演奏を中断したキース・ジャレットが訴える。2005年10月14日、東京芸術劇場大ホールでのソロコンサート。客席から演奏直後の余韻を打ち消すような拍手、咳など(携帯も鳴ってたかもしれない)、静寂を保てない聴衆に対し、キースは苛立ち、結局2度に渡って演奏を中断する場面がありました。終始落ち着かない観客とは裏腹に、キースの演奏は、時折自然と浮き上がるように中腰で立ち上がったり、身体を左右にゆすったり、足を踏み鳴らし、ピアノ弦と共鳴するようなうなり声を発しながら、全身から音を搾り出すような圧倒的な演奏でした。オペラグラスを覗いて見ると、演奏中サングラスの奥の目は閉じられたまま。自分の内面に没頭するかのようでした。即興で2時間に渡るたった一人の演奏は「Very Hard」なものでキースの強靭な集中力と完璧な素晴らしさに対して、ホール内のそわそわした空気が残念で、わだかまりを残すコンサートとなってしまいました。


Keith Jarrett (p)
東京芸術劇場 2005.10.14