キース・ジャレット 『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』 Keith Jarrett “The Melody At Night, With You” 028


……泣。川端康成の文章に「悲しいほど美しい声」というのがありましたが、まさにそんなピアノの音なのです。静謐な美しさがあふれてきます。眠る前によくかけていたら、当時付き合っていた彼女が憶えたようで、#1 “I Loves You, Porgy” 「愛するポーギー」を聴くと「おやすみの音楽ね」と言っていました。好きな人と過ごす穏やかな夜におすすめです。音楽はその時の記憶を封じ込め、聴くたびにそれを甦らせるから不思議……泣。

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アーチー・シェップ 『フレンチ・バラッズ』 Archie Shepp Quartet “Deja Vu” 035


パリ在住のアーチー・シェップのフレンチ・バラッド集。ミッシェル・ルグラン作曲の#1 “What Are You Doing The Rest Of Your Life” 「これからの人生」、#3 “Les Feuilles Mortes” 「枯葉」、#6 “April In Paris” 「パリの四月」などお馴染みの曲ですね。むせび泣くような枯れたテナーの音色が胸に沁みます。力強く迫ってくる演奏は、崇高な凄みすら感じさせ、あなたの頬を濡らします。

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エディ・ヒギンズ 『煙が目にしみる』 Eddie Higgins Quartet feat. Scott Hamilton “Smoke Gets In Your Eyes” 046


日本で人気の高いピアニスト、エディ・ヒギンズ。オールド・スタイルを信条とするテナー奏者、スコット・ハミルトン。二人の趣味のよい贅沢な演奏で極上のおもてなし。フレッシュで軽やかなピアノ、マッタリとコクのあるテナーの絶妙なハーモニー。馴染みのメニュー#3 “You Don’t Know What Love Is” 「あなたは恋を知らない」、#5 “Smoke Gets In Yours Eyes” 「煙が目にしみる」、#9 “When You Wish Upon A Star” 「星に願いを」のフルコースは、口当たりもよく、味わいも深い。絶品!

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上原ひろみ 『アナザー・マインド』 Hiromi “Another Mind” 058


TVドキュメンタリー番組「情熱大陸」で彼女が取り上げられ、キリン「モルトスカッシュ」、YAMAHAなどのTVCM、「AERA」の表紙を飾るなど、もはや人気がジャズ界にとどまらない勢い。リアルタイムでこんな才能に出会えるなんて嬉しいかぎり。全曲、彼女のオリジナル。「超絶技巧を駆使するには自作曲じゃなきゃ」と語る彼女の頼もしさ。バークリー在学中に録音されたこのデビュー盤は、#1 “Xyz” からとんでもないジャズが始まります。まるでプログレッシブロックをジャズのフォーマットでやっているよう。デジタルな#5 “010101 (Binary System)” をはじめ、多様な音楽性を内包したジャズは、まったくもってユニークかつ斬新。髪の毛を逆立て、一心不乱にピアノを弾きまくりますが、天真爛漫な笑顔も見せてくれる新世代女性ピアニスト。これからが本当に楽しみ。(※本文は2004年執筆)

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チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー 『ミズーリの空高く』 Charlie Haden & Pat Metheny “Beyond The Missouri Sky (Short Stories)” 059


チャーリー・ヘイデンのベースとパット・メセニーのギターの織り成す静謐な雰囲気が、味わい深い。二人に爪弾かれる弦の音色に包まれ、穏やかな情感と伸びやかな開放感に癒されます。特に秀逸なのは、ヘイデンの息子作曲の#13 “Spiritual”。やわらかに流れ、消えゆく音色の浮遊感、魂が解き放たれます、ミズーリの空高く……。

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