キース・ジャレット 『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』 Keith Jarrett “The Melody At Night, With You” 028


……泣。川端康成の文章に「悲しいほど美しい声」というのがありましたが、まさにそんなピアノの音なのです。静謐な美しさがあふれてきます。眠る前によくかけていたら、当時付き合っていた彼女が憶えたようで、#1 “I Loves You, Porgy” 「愛するポーギー」を聴くと「おやすみの音楽ね」と言っていました。好きな人と過ごす穏やかな夜におすすめです。音楽はその時の記憶を封じ込め、聴くたびにそれを甦らせるから不思議……泣。

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ビル・エヴァンス 『アローン』 Bill Evans “Alone” 053


ビル・エヴァンスのピアノをとことん堪能できるソロ作品。独りで紡ぎだされるメロディーは、トリオより心なしか流麗に、くっきりと浮かび上がります。#1 “Here’s That Rainy Day” 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」など美しい印象が鮮明で、特に14分半に渡る#5 “Never Let Me Go” 「ネバー・レット・ミー・ゴー」のリリカルに豊かなニュアンスとドラマティックな曲想をもつ演奏は秀逸。1970年代はソロピアノブームとなりますが、チック・コリアやキース・ジャレットに先駆けての長尺なソロピアノ・インプロビゼーションは、何だか嬉しくなります。

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セロニアス・モンク 『セロニアス・ヒムセルフ』 Thelonious Monk “Thelonious Himself” 054


時を止めてしまうような沈黙と、とつとつと発せられるピアノの響き――おそらくあらゆるピアニストの中で、最も独創的なピアニストではないでしょうか。一聴すれば、「セロニアス・モンク」というその名前と共に忘れることができません。#7 “’Round Midnight” 「ラウンド・ミッドナイト」は彼の作曲中、最も知られたスタンダードですね。演奏中に踊り始めたり、普段はとても寡黙だったりと、その人となりもユニークだったようです。よくピアノの習い始めに「卵を持つように(手のひらを丸く楽に)弾いて」などと言われますが、モンクは指をピンッとまっすぐ伸ばしてかなりの力みよう。「俺流」、素敵です。

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キース・ジャレット 『ザ・ケルン・コンサート』 Keith Jarrett “The Koln Concert” 055


ソロピアノ完全即興による1975年、ドイツのケルンコンサートのライブ盤。26分もある#1 “Koln, January 24, 1975 Part I” は以前、車のCMにイントロ部分が使われていました。美しいメロディーとドラマチックに展開する構成、これはひとつの奇跡でしょう。ECMレコードらしく透き通るような響きのある録音も印象的。どこまでも続いていくような壮大なグルーブ、即興にきらめくメロディー。ひとつのコンサートの記録が、永続的な輝きと感動を伝えてくれます。限りなく美しい名盤。

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板橋文夫 『渡良瀬』 Fumio Itabashi “Watarase” 102


これぞ和ジャズの大傑作!ソロピアノで繰り出される力強い演奏から響いてくるのは、軽薄なオリエンタリズムでは決してない、たくましい大和魂の鼓動。#5 「渡良瀬」とは、板橋文夫が少年時代に過ごした群馬、埼玉を流れている渡良瀬川のこと。この圧倒的なうねりと流れのダイナミズムに身を任せると、溢れ出るような郷愁の念にかられるのは、日本人だからでしょうか。

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