ソニー・クラーク 『クール・ストラッティン』 Sonny Clark “Cool Struttin'” 007


何といっても、このジャケットでしょう。ゴダールの映画のようにおしゃれ。ウキウキしてくるような#1 “Cool Struttin’” 「クール・ストラッティン」のイントロ。ロゴも踊ってますね。ダイナミックな#4 “Deep Night” 「ディープ・ナイト」も爽快。本国アメリカより日本で評価されたアルバムとして有名です。ソニー・クラークがサイドマンに回ったアルバム『Candy』『GO!』も私の愛聴盤。彼のピアノ、トロトロとした不思議な音がします。

このページを読む →


マル・ウォルドロン 『レフト・アローン』 Mal Waldron “Left Alone” 037


#1 “Left Alone” 「レフト・アローン」は、ジャズシンガー、ビリー・ホリデイが作詞、晩年に伴奏を勤めた彼が作曲したもの。ここでは亡きビリーの代わりに、ジャキー・マクリーンがすばらしい演奏を聴かせます。数年前マル・ウォルドロンの来日公演でのこと、彼はヘビースモーカーらしく、ベースソロなど演奏の合間に、ゆっくりとした動作で「カッ、チッ」とライターで火をつけ、細長い煙草を喫んでいました。そのたたずまいからは、モールス信号とも形容される彼独特のジャズそのものが発せられているようでした。くゆらせていた煙のように逝ってしまったのは、その公演の数ヵ月後のことです。このアルバムの沈鬱な美しさに魅せられた方は、ソロピアノ作品『All Alone』に耽溺されては如何でしょう。

このページを読む →


ドナルド・バード 『フュエゴ』 Donald Byrd “Fuego” 040


あぁ……もぅ……たっ、たまらん。体も動いてまう。ナンやろ、この感じ?そや、ファンキーやった!……そっ、そんなこの一枚は、その昔ジャズ喫茶でリクエストの多い人気盤だったそうです。全体的にはパワフルでノリの良いアーシーなアルバム。なぜそれ程までに愛されたのかは、一聴すればお分かりになるでしょう。#1 “Fuego”、#4 “Low Life” のフレーズ、ゴスペル調の#6 “Amen” などかなりインパクトあり。でも、#3 “Funky Mama” ってどんなおかん?

このページを読む →


チャーリー・ミンガス 『直立猿人』 Charles Mingus “Pithecanthropus Erectus” 068


「ピテカントロプス・エレクタス」、邦題は「直立猿人」とインパクトのあるタイトル曲#1は、「人類の進化と滅亡」というテーマをフリーキーな即興演奏で野性的に表現しています。ジャッキー・マクリーン、J.R.モンテローズ、マル・ウォルドロンなどのメンバーもそれぞれ強烈な個性をぶつけ合うように発揮していますが、一方で全体的な一体感もあるという逆説的な演奏はユニーク。調和と不調和のせめぎあう緊張感と噴出するようなジャズの生命力に魅せられます。

このページを読む →


ジャッキー・マクリーン 『4,5&6』 Jackie McLean “4, 5 and 6” 093


『4, 5 & 6』――数字が並んだちょっと変わったタイトルは、カルテット、クインテット、セクステット……つまり、曲ごとに編成を変えることを表わしています。このコンセプトももちろん楽しめますが、アルバムの冒頭からジャッキー・マクリーンのアルトの音色にどうしても惹き付けられてしまいます。ジャッキーのアルトには、心をダイレクトに震わせるような情感豊かな響きがあるのです。

このページを読む →