ソニー・ロリンズ 『サキソフォン・コロッサス』 Sonny Rollins “Saxophone Colossus” 004


#1 “St. Thomas” 「セント・トーマス」の明るい演奏は有名だから聴いたことがあるかもしれません。#2 “You Don’t Know What Love Is” 「あなたは恋を知らない」のバラードの深みのある音色、#3 “Strode Rode” 「ストロード・ロード」のユニークな疾走感、#4 “Moritat” 「モリタート」のミドルテンポの心地よいフレージングなど、全曲を通して豊かな曲想とよどみない奔放なアドリブの魅力が溢れています。聴きやすさの中に普遍的完成度を感じさせる懐の深いモダンジャズの代表的名盤です。

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バド・パウエル 『ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1』 Bud Powel “The Amazing Bud Powell, Volume One” 118


ブルーノートのバド・パウエルがいいんです!ビバップピアノの巨人バド・パウエルですが、RouletteやVerveなどのレーベルにも多くの傑作を吹き込んでいます。でも私が好きなのはBlue Noteのバドなんです。卓越した芸術性や繊細な表現以上に何か人を驚かせてやろうというような楽しさに溢れていて、そのエンターテイメント性のある演奏がいいのです。本作は前半がクインテット、後半がトリオと2つの編成による演奏が収録されています。前半のハードバップでは、ファッツ・ナバロのブリリアントなトランペットと素敵に転がりまくるバドのピアノが魅力的。ソニー・ロリンズのテナーも演奏に厚みを加えます。後半のピアノトリオでは、コミカルなネーミングの#12 “Un Poco Loco” 「ウン・ポコ・ローコ」が有名でしょうか。キレがあってコクもある。なんだかビールのようですが、本領を発揮したバドは爽快な気分にさせてくれること間違いなし。Blue Noteのプロデューサー アルフレッド・ライオンがプロデュースしたかった「Amazing」(驚くべき、すごい)なバドがここにいます。

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ソニー・ロリンズ 『Volume 2』 Sonny Rollins “Volume 2” 194


「パワーソング」なるものがあります。文字通り元気が出る曲のことですが、アルバムでチョイスするなら私はこの一枚でしょうか。ソニー・ロリンズにピアニストがセロニアス・モンクとホレス・シルバーの交代制。このメンツ、どうしてもマイルスの『バグズ・グルーブ』を思い出してしまいます。世に言う「クリスマス(喧嘩)セッション」。マイルスのソロのバックでは「モンクは弾くな」と言ったとか言わないとか。このアルバムも結構好きなんですが、妙な緊張感も感じたりして……。もともと糸を吐いていくようなマイルスのトランペットと、ブツンブツンとぶつ切りにするようなピアノの相性は難しいのかも。その点本作は「ブヴァー」っとロリンズが快音でブローしてくれますので安心。#3 “Misterioso” モンクの独特の間のあるピアノのイントロに、ブレイキーとロリンズがそろそろと付いていくのも何とも可笑しい。やっぱりモンクは全部もってっちゃう感じがずるいかも。でもこの緊張感のあと、ホレス・シルバーのパートだとこっそりホッとしたりして。『バグズ~』ではミルト・ジャクソンのヴァイブが印象的ですが、本作はジャイ・ジェイ・ジョンソンのトロンボーンが心地よい艶のある音色で、個性派たちの間にすっぽりとうまく収まっています。ベースはハードバップを支え続けた名手ポール・チェンバース。そして#4 “Reflections” では「ズガーン」「ドガーン」と轟音で炸裂するドラム、アート・ブレイキーもやっぱり強烈。ブレイキーのドラムにあおられて、ロリンズ節を心ゆくまで堪能すれば、「元気があれば何でもできる」という気になります。「パワーアルバム」お試しあれ。

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