ヘレン・メリル 『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』 Helen Merrill “Helen Merrill With Clifford Brown” 010


ジャケットを見ると激しくシャウトしてるようですが、中身はソフト。薄明かりのジャズバーでしっとりと歌うジャズシンガーというイメージにぴったりくるのではないでしょうか。リップノイズや息遣いも「大人の女」の雰囲気を漂わせ、彼女は「ニューヨークのため息」と称されています。デリケートに低く落ち着いた彼女の声と、夭折の天才クリフォード・ブラウンのブリリアントなトランペットとのコントラストや、アルバム構成など、若き日(当時21歳)のクインシー・ジョーンズによるプロデュースは、奇跡のように完璧。

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ノラ・ジョーンズ 『ノラ・ジョーンズ』 Norah Jones “Come Away With Me” 061


ジャズシンガーというよりは、フォーク系シンガーソングライターと紹介する方がしっくりくるノラ・ジョーンズ。このデビュー盤で記録的なセールス(全世界で1800万枚とも言われています※2004年時)を達成します。21世紀の『Tapestry』でしょうか。アコースティックのピアノやギターのシンプルな伴奏に少し低めの優しく落ち着いたノラの声がのります。この独特の彼女の声は、天性のヒーリングボイスでしょう。ジャズ、フォーク、カントリーなどをクロスオーバーし、コンテンポラリーミュージックシーンにおいて、その動向が注目される存在となった彼女。まだまだ、ジャズ界からスーパースターが生まれることを証明してくれた功績は、大きいのではないでしょうか。

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サラ・ヴォーン 『枯葉』 Sarah Vaughan “Crazy And Mixed Up” 091


「枯葉の決定的名演は?」と聞かれたら、たぶんキャノンボール・アダレイ『Somethin’ Else』の「枯葉」を挙げるでしょうか。でも、インパクトでいうとある意味こちらが上かも知れません。#3 “Autumn Leaves” 「枯葉」、いわゆるあのサビのメロディーが聴こえてきません。「フェイク」という表現手法で、メロディーをくずして歌っているのです。ハイテンションに駆け抜けるスキャットは、オリジナリティに溢れ、誰も聴いたことのない「枯葉」で圧倒します。最もポピュラーなスタンダードの一つ「枯葉」。何度も何度も演奏され、繰り返し聴かれてきたこの曲から更に新しい魅力を創造し、ジャズの無限の可能性を示したサラの名唱です。

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マリーナ・ショウ 『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ?』 Marlena Shaw “Who Is This Bitch, Anyway?” 101


BARで口説いてくる男をカッコよく振り切る女――そんな台詞劇で幕を開けるこのアルバム。楽曲、歌唱、演奏のどれもが余裕しゃくしゃくとしていて小粋。暑苦しくない爽やかな歌唱に好感がもてます。ロバータ・フラックの名曲#4 “Feel Like Makin’ Love” は勿論のこと、#2 “You Taught Me How To Speak In Love”、#3 “Davy”、#7 “You” などのバラードも清々しく胸にしみます。エキゾチックな雰囲気のあるジャケットもCOOL!夏の海へ出かける車の中で聴きたくなるような一枚です。

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ミルドレッド・ベイリー 『ロッキンチェア・レディ』 Mildred Bailey “The Rockin’ Chair Lady” 139


魂までビブラートする歌唱――白人最初の女性ジャズシンガーとして、またそのチャーミングな豊満体型から愛されたミルドレッド・ベイリー。本作はDECCAレーベルに残された録音をまとめて収録したもの。趣のある優しい歌声がじんわりと心に響く#1 “Rockin’ Chair”、#8 “Georgia On My Mind” 「我が心のジョージア」は彼女の代表的なヒット曲。このアルバムには古き良きアメリカが息づいています。

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