マイルス・デイビス 『ビッチェズ・ブリュー』 Miles Davis “Bitches Brew” 021


1970年代、この作品でフュージョン(エレクトリックジャズ)は幕を明けます。音楽シーンの中で日々肥大化するロックを意識してマイルスが作り上げた壮大かつ怒涛のリズム音楽世界。アグレッシブで、高テンション。私は何度聴いてもそのスリリングな緊張感に胸騒ぎを覚えます。今もって強烈な印象を受けるため好き嫌いが分かれるかも。ハマると中毒に。禁断症状がひどい方には『アガルタ』も処方致します。

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チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』 Chick Corea & Return to Forever “Return to Forever” 022


ふぅ……ちょっと一息。リラックスしましょう。通称「カモメのチック」です。童話の題名みたいですね。幸福感につつまれた楽園志向の爽やかなフュージョンです。あなたも#3 “What Games Shall We Play Today?” はつい口ずさんでしまうことでしょう。#4 “Sometime Ago / La Fiesta” 後半の恍惚感にいざなう展開はすばらしい。「スロウライフ」な方におすすめです。

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チック・コリア 『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』 Chick Corea “Now He Sings, Now He Sobs” 095


明るく晴れ渡った昼間に突然のスコール――勝手なイメージですが、そんな意外性のある清涼感が鮮烈な印象を残します。スピードとキレのあるチック・コリアのピアノ。トリオのバランスもとても良く、センシティブなニュアンスを濁らせることなく清らかに伝えています。リターン・トゥ・フォーエバーのチックとは違い、少々難解でストイックな感じが否めないですが、私はこのデビュー盤がたまらなく好きです。レコードは5曲のみでしたが、CDでは美しい小品のボーナストラックが沢山追加されています。何度聴いても新鮮な輝きを放つピアノの雨に打たれましょう。

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マイルス・デイビス 『イン・ア・サイレント・ウェイ』 Miles Davis “In a Silent Way” 110


アンビエント・ミュージック……。早い、早すぎる……。ブライアン・イーノに先んじること約10年。この何とも形容しがたい静的な浮遊感を漂わせる前衛作は大傑作『ビッチェズ・ブリュー』以前に発表され、その後のフュージョンシーンの原点となりました。ハービー・ハンコック、チック・コリア、ジョー・ザウィヌルと次世代を担う3人の天才キーボーディストを擁した奇跡的なアルバム。エレクトリック・マイルスの静謐なる黎明。

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チック・コリア&リターン・トウ・フォエバー 『ライト・アズ・ア・フェザー』 Chick Corea & Return To Forever “Light As A Feather” 166


夏の日差しになれば、やはりこのサウンド――大傑作『Return To Forever』に続くセカンドアルバム。躍動感あふれるリズム陣の巻き起こす風にチック・コリアのエレクトリックピアノ、ジョー・ファレルのフルート、フローラ・プリムのボサノバ風ヴォイスがのります。メロウな(やわらかく美しい)聴き心地のよさがありながら、陶酔するような高揚感もあるのが素晴らしい。そして#6 “Spain”。スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴの「アンフェラス協奏曲」を基調としたチック・コリアの代表曲です。甘く爽やかな飲み口とすっきりとキレのあるシャンパンのような名曲。軽く酔えます。

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