ビル・エヴァンス 『ワルツ・フォー・デビイ』 Bill Evans “Waltz for Debby” 002


このアルバム程、聴きやすいジャズ名盤はないのではないでしょうか。#1 “My Foolish Heart” 「マイ・フーリッシュ・ハート~愚かなりし我が心」のロマンティックなイントロで幕を開ける美しく、くつろいだ演奏のひととき……ライブレコーディングなので、お客さんの食器がカチャカチャ音を立てたり、笑い声がかすかに入っていたり。でも、こういう風に楽しめるジャズっていいなと思います。同日セッションでスコット・ラファロ(b)をフィーチャーしたアルバム『Sunday At The Village Vanguard』もおすすめ。

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キース・ジャレット 『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』 Keith Jarrett “The Melody At Night, With You” 028


……泣。川端康成の文章に「悲しいほど美しい声」というのがありましたが、まさにそんなピアノの音なのです。静謐な美しさがあふれてきます。眠る前によくかけていたら、当時付き合っていた彼女が憶えたようで、#1 “I Loves You, Porgy” 「愛するポーギー」を聴くと「おやすみの音楽ね」と言っていました。好きな人と過ごす穏やかな夜におすすめです。音楽はその時の記憶を封じ込め、聴くたびにそれを甦らせるから不思議……泣。

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デューク・ジョーダン 『フライト・トゥ・デンマーク』 Duke Jordan “Flight To Denmark” 049


デンマークの雪景色はこんなにも美しいのでしょうか。ピアノから舞い上がる音の結晶は透きとおり、うっすらと積もりゆく旋律は暖かい。#1 “No Problem” はデューク・ジョーダン作の有名曲「危険な関係のブルース」、続く#2 “Here’s That Rainy Day” 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」の曲中、一瞬きらめく「ジングルベル」のフレーズがチャーミング。#3 “Everything Happens To Me” 「エブリシング・ハプンス・トゥ・ミー」はもう、心をあずけてゆっくりとろけましょう。オリジナルとスタンダードの配分と選曲が絶妙。真っ白な雪景色、心奪われる美しさと何故か心躍ってしまう魅力が、このアルバムにはあります。

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キース・ジャレット 『ザ・ケルン・コンサート』 Keith Jarrett “The Koln Concert” 055


ソロピアノ完全即興による1975年、ドイツのケルンコンサートのライブ盤。26分もある#1 “Koln, January 24, 1975 Part I” は以前、車のCMにイントロ部分が使われていました。美しいメロディーとドラマチックに展開する構成、これはひとつの奇跡でしょう。ECMレコードらしく透き通るような響きのある録音も印象的。どこまでも続いていくような壮大なグルーブ、即興にきらめくメロディー。ひとつのコンサートの記録が、永続的な輝きと感動を伝えてくれます。限りなく美しい名盤。

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チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー 『ミズーリの空高く』 Charlie Haden & Pat Metheny “Beyond The Missouri Sky (Short Stories)” 059


チャーリー・ヘイデンのベースとパット・メセニーのギターの織り成す静謐な雰囲気が、味わい深い。二人に爪弾かれる弦の音色に包まれ、穏やかな情感と伸びやかな開放感に癒されます。特に秀逸なのは、ヘイデンの息子作曲の#13 “Spiritual”。やわらかに流れ、消えゆく音色の浮遊感、魂が解き放たれます、ミズーリの空高く……。

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