マイルス・デイビス 『カインド・オブ・ブルー』 Miles Davis “Kind of Blue” 001


マイルス・デイビスが「モードジャズ」を完成させたモダンジャズの金字塔アルバム。それまでの「ハードバップ」とよばれるノリノリの演奏とは違い、抑制された緻密なニュアンスで構築されたジャズ。重厚なジャズの凄みが味わえる一枚で、私は聴く度にドキドキしてしまいます。深遠な静寂に誘う#3 “Blue In Green” 「ブルー・イン・グリーン」は、私の永遠のリピートナンバー。最初はとっつきにくい方もいるかもしれませんが、他のジャズアルバムをいろいろ聴いていくと、圧倒的な存在感で迫ってきます。

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ビル・エヴァンス 『ワルツ・フォー・デビイ』 Bill Evans “Waltz for Debby” 002


このアルバム程、聴きやすいジャズ名盤はないのではないでしょうか。#1 “My Foolish Heart” 「マイ・フーリッシュ・ハート~愚かなりし我が心」のロマンティックなイントロで幕を開ける美しく、くつろいだ演奏のひととき……ライブレコーディングなので、お客さんの食器がカチャカチャ音を立てたり、笑い声がかすかに入っていたり。でも、こういう風に楽しめるジャズっていいなと思います。同日セッションでスコット・ラファロ(b)をフィーチャーしたアルバム『Sunday At The Village Vanguard』もおすすめ。

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ビル・エヴァンス 『ポートレイト・イン・ジャズ』 Bill Evans “Portrait in Jazz” 011


ビル・エバンスの迷宮。つまづきそうな緩急のあるピアノの音に誘われて、深く深く迷い込んでしまい……、ふと気がつくと、もうすっかりこの美しい世界の虜になっています。#2 “Autumn Leaves” 「枯葉」のためて、ためて、一気に滑り出す展開がスリリング。最後の静謐なグラデーションが消え入るまで、全曲にわたりそのミステリアスな魅力に酔ってしまいます。

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ビル・エヴァンス 『アローン』 Bill Evans “Alone” 053


ビル・エヴァンスのピアノをとことん堪能できるソロ作品。独りで紡ぎだされるメロディーは、トリオより心なしか流麗に、くっきりと浮かび上がります。#1 “Here’s That Rainy Day” 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」など美しい印象が鮮明で、特に14分半に渡る#5 “Never Let Me Go” 「ネバー・レット・ミー・ゴー」のリリカルに豊かなニュアンスとドラマティックな曲想をもつ演奏は秀逸。1970年代はソロピアノブームとなりますが、チック・コリアやキース・ジャレットに先駆けての長尺なソロピアノ・インプロビゼーションは、何だか嬉しくなります。

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ビル・エヴァンス&ジム・ホール 『アンダー・カレント』 Bill Evans & Jim Hall “Undercurrent” 072


水面下にたゆたう女性の美しく幻想的なジャケットが素晴らしい。「Undercurrent」とは「底流」の意。通常スローバラードとして演奏される「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」をアップテンポなピアノとギターの二重奏アレンジにした#1 “My Funny Valentine” は名演として名高く、渾然一体となってうねる完成度の高いインタープレイに圧倒されます。その他の曲では、ミディアムテンポのゆったりとした演奏に身を任せましょう。ビル・エバンスのピアノとジム・ホールのギターというシンプルな共鳴が、波紋のように広がり、品のあるロマンティシズムを漂わせます。

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