山本剛 『ミッドナイト・シュガー』 Tsuyoshi Yamamoto “Midnight Sugar” 141


山本剛、渾身のデビューアルバム。圧倒的なブルースフィーリング、そして驚くのは既に成熟した大人のジャズを聴かせるということ。1974年、山本剛は当時25歳。――彼は高校3年時からピアノを本格的に始めたようですが、なんと独学だそうです――彼が初めてのアルバムで聴かせるのは、まるでジャズ道を極めた熟練のベテランが演奏するような渋さ。TBMレーベルで海外売上No.1。なるほど、確かに本物のジャズが聴ける傑作です。

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山本剛 『スピーク・ロウ』 Tsuyoshi Yamamoto “Speak Low” 153


スインギーで耽美的なピアニスト山本剛が、ヴィーナスレコードで吹き込んだ一枚。#1 “Cool Struttin’” 「クール・ストラッティン」、#4 “Misty” 「ミスティ」、#6 “Jealous Guy” 「ジャラス・ガイ」(ジョン・レノン)、#11 “Close To You” 「クロース・トゥ・ユー」(カーペンターズ)など親しみやすい選曲でグッド。ジャズバーの演奏で聴くような山本剛の魅力が楽しめます。

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山本剛 『ミスティ』 Tsuyoshi Yamamoto “Misty” 190


Misty : 霧のたちこめた、雲のようにぼんやりとした――#1 “Misty” 「ミスティ」はジャズピアニストのエロール・ガーナーによる有名曲ですが、山本剛の代表的な演奏曲でもあります。美しい音色が緩やかに漂いながら惹き込んでいく陶酔の世界。ただただ麗しくたゆたう旋律を奏でながら、そこに裏打ちされているのは透徹した(澄み切った)精神のストイシズム。山本剛の本領がここに遺憾なく発揮されています。#2 “Blues” はキレのある音色が小気味よくスイングする自作曲。3曲目から最後まで、もう嬉しくなってしまうお馴染みスタンダードのオンパレード。硬質な音色がクリアに響く録音も秀逸です。ちなみにTBMレーベルのベストセラー第一位。

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山本剛 『オータム・イン・シアトル』 Tsuyoshi Yamamoto “Autumn In Seattle” 191


山本剛が弾く映画音楽――このサービス精神あふれるコンセプト。映画のテーマ曲からの選曲ですが、ジャズのスタンダードとしても良く知られているものばかり。アルバムタイトルにもなっている自作曲#3 “Autumn In Seattle” は映画音楽ではありませんが、これもドラマティックな叙情性をたたえた美しい佳曲。また彼の代表的な演奏曲として知られる#4 “Misty” をアップテンポの新鮮なアレンジで聴かせてくれたり、彼が高校時代に聴いてジャズピアニストを志すきっかけになった#7 “No Problem” など、彼を良く知るファンも十分に聴き応えのある内容となっています。映画とは観客を楽しませてくれたり、夢を見させてくれたり、感動を与えてくれたりするものですが、それがそのまま山本剛の演奏にも通じるという、このアルバムの心にくい演出。ゆったりとした気分で過ごしたいときには欠かせない愛聴盤です。

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鈴木勲 『ブロー・アップ2』 Isao Suzuki “Blow Up 2” 192

Blow Up 2


日本のジャズ史上に燦然と輝く金字塔『Blow Up』。あれから30年、まさかの続編として2003年に制作されたアルバム。メンバーは鈴木勲、菅野邦彦、ジョージ大塚の黄金トリオに鈴木勲『Black Orpheus』などの名盤に参加している盟友山本剛、そして「鈴木勲とOMA SOUND」の若手たち。タイトルを渋い深みのある声で響かせると、雄大な風景の広がるような#2 “What A Wonderful World” 「この素晴らしき世界」で幕を開けます。この曲で鈴木勲は古楽の擦弦楽器であるヴィオラ・ダ・ガンバを幽玄に奏で、そして後半は一転してなんとピアノの菅野邦彦とエレクトリックピアノの山本剛が軽快に競演します。多くの曲で菅野と山本のダブルピアニストが同時に弾く豪華な布陣。#5 “My Foolish Heart” 「マイ・フーリッシュ・ハート~愚かなりし我が心」はヴィオラ・ダ・ガンバとベースに山本剛のピアノだけというシンプルな美しさも、この豪華な演奏に挟まれるとより引き立ちます。終盤の#8 “Nardis” 「ナーディス」は新しい世代のフレッシュな演奏で、聴きどころ満載の存分に楽しめる内容となっています。しかしながらあの名曲 “Blow Up” を再録して欲しかったと言うのは野暮でしょうかね。

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