レイ・ブライアント 『レイ・ブライアント・トリオ』 Ray Bryant “Ray Bryant Trio” 048


想い出の品、惚れ込んだ逸品……誰しもいくつかは持っている大切なもの、そんな宝物のようなアルバムが、咥え煙草のこの名盤。どことなく哀愁に染まったメロディーがポロポロとこぼれていきます。#1 “Golden Earrings” 「ゴールデン・イヤリング」が名演として有名ですが、#2 “Angel Eyes” 「エンジェル・アイズ」や#5 “Splittin’”、#6 “Thrill Is Gone” 「スリル・イズ・ゴーン」など、繊細なバラードがこの上なく美しいのです。まさに珠玉のような演奏。好きな人から貰ったアクセサリーを時々眺めてしまうように、時々思い出したように聴きたくなります。

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デューク・ジョーダン 『フライト・トゥ・デンマーク』 Duke Jordan “Flight To Denmark” 049


デンマークの雪景色はこんなにも美しいのでしょうか。ピアノから舞い上がる音の結晶は透きとおり、うっすらと積もりゆく旋律は暖かい。#1 “No Problem” はデューク・ジョーダン作の有名曲「危険な関係のブルース」、続く#2 “Here’s That Rainy Day” 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」の曲中、一瞬きらめく「ジングルベル」のフレーズがチャーミング。#3 “Everything Happens To Me” 「エブリシング・ハプンス・トゥ・ミー」はもう、心をあずけてゆっくりとろけましょう。オリジナルとスタンダードの配分と選曲が絶妙。真っ白な雪景色、心奪われる美しさと何故か心躍ってしまう魅力が、このアルバムにはあります。

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エロール・ガーナー 『ミスティ』 Erroll Garner “Plays Misty” 051


#1 “Misty” 「ミスティ」(misty:かすみのかかった、ぼんやりとした)作曲はエロール・ガーナー。このロマンティックで美しい曲は、空で生まれました。彼が飛行機の窓から空を眺めていて、このメロディが浮かんだと伝えられています。このエピソード、いいですよね。鍵盤の上を縦横無尽に跳躍する彼独特の演奏は、人を楽しませる魅力に溢れたものです。ジャズピアニスト山本剛がこの曲を十八番としていますが、この旋律に導かれ静かに深く沈んでいくような演奏は素晴らしいです。こちらも是非。

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ボビー・ティモンズ 『ジス・ヒア』 Bobby Timmons “This Here is Bobby Timmons” 063


「モーニン」の作曲者として有名なピアニスト、ボビー・ティモンズ。とにかく黒人らしいファンキーなピアノが彼の持ち味でしょう。このアルバムはトリオでの演奏なので、そんな彼のノリノリなピアノが心行くまで楽しめます。それぞれが個性的かつ実力派のプレイヤー集団ジャズメッセンジャーズとは一味違った、ラフで気楽な演奏が心地いい。でも、やはり#1 “This Here”、#2 “Moanin’”、#6 “Dat Dere”、#9 “Joy Ride” のオリジナル曲を聴くと、あらためてファンキーでインパクトのある作曲能力の高さに感心します。

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ウィントン・ケリー 『枯葉』 Wynton Kelly “Wynton Kelly!” 088


カラフルなジャケットが目を引くウィントン・ケリーの人気アルバム!多彩なピアノを聴かせてくれる彼にピッタリなジャケットです。#1 “Come Rain or Come Shine” 「降っても晴れても」のお馴染みのメロディで早速ウキウキとした演奏がはじまります。#2 “Make the Man Love Me” は一転して情感たっぷりなバラード。そして#3 “Autumn Leaves” へ。ウィントン・ケリーのピアノは、小気味よくスイングしながら、叙情性も感じさせる魅力的な表情をもっています。赤や黄と鮮やかに色づいては、ハラハラと散ってしまう「枯葉」のように。

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