ジョン・ルイス 『グランド・エンカウンター』 John Lewis “Grand Encounter” 079


「室内楽風ジャズ」と形容されたMJQ(Modern Jazz Quartet)のピアニスト、ジョン・ルイスのソロ名義のファーストアルバム。#4 “2 Degrees East-3 Degrees” が示すように、イーストコーストから2人、ウエストコーストから3人という東西ジャズの邂逅をテーマにしています。でも、激しいバトル・セッションとは程遠い、ちょうどジャケットの女性が穏やかな陽だまりの中、微笑みをもって聴いているようなリラックスムードが漂う素敵なアルバムです。全編、ジョン・ルイス(p)、ビル・パーキンス(ts)、ジム・ホール(g)などメンバーの調和のとれた品のあるプレイにうっとり聴き惚れてしまいます。

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チェット・ベイカー 『チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ』 Chet Baker “Chet Baker Sings and Plays” 171


名盤『Chet Baker Sings』の続編的内容の人気盤――ストリングスも加え、より繊細に作り込まれたムーディな魅力が楽しめます。トランペットは苦手で……という方もチェットの優しい音色は是非一聴を。ドキュメンタリー映画『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』も公開された、ジャズメンを撮り続けた写真家ウィリアム・クラクストンによるジャケットも素敵です。

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ジェリー・マリガン 『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』 Gerry Mulligan “Gerry Mulligan Quartet” 172


バリトンサックス奏者ジェリー・マリガンのウエストコースト ジャズを代表する名盤です。ジャケットの上から逆さに写ってるのはチェット・ベイカー。『Night Lights』とは雰囲気は違って軽快で爽やかな昼のイメージ。でもやっぱり#11 “The Nearness of You” 「ニアネス・オブ・ユー」の穏やかなバラードには聴き惚れてしまいます。

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ポール・デズモンド 『テイク・テン』 Paul Desmond “Take Ten” 173


名曲 “Take Five” 「テイク・ファイブ」の続編、その名もズバリ#1 “Take Ten” 「テイク・テン」(共にポール・デズモンド作曲)。#5 “Black Orpheus” 「黒いオルフェ」などボサノバ調の曲もあり、全曲穏やかにくつろげる好盤です。ジム・ホール(g)も参加。ポール・デズモンドのアルトは、都会的でメロディアス、抒情的でクールな優しい音色。なんともたまらない魅力があります。

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レニー・トリスターノ 『鬼才トリスターノ』 Lennie Tristano “Lennie Tristano” 186


1940年代後半から50年代前半のビバップの流れから、より静的なクールジャズが生まれます。これは、その代表的な一枚。盲目のピアニスト、レニー・トリスターノは独自の理論を実践した音楽家で、その門下からはリー・コニッツ(as)などを輩出します。このアルバム『鬼才トリスターノ』は、前半のラディカル(急進的)な演奏と後半のオーソドックス(正統的)な演奏が、――レコードの表裏にあるA/B面とは言えども――まったく異なる大胆な対蹠的(正反対の)構成。#1 “Line Up”、#4 “East Thirty-Second” はドラムとベースを先に録り、後でピアノの速度を速めて録音、#2 “Requiem”、#3 “Turkish Mambo” はピアノの多重録音というモダンジャズにおいては革新的手法。そのフラットでミニマムな音が連続する人工的な構築美に、張り詰めた気迫がこもる不可思議さ。#5 “These Foolish Things” からは打って変わり穏やかな演奏で、ウエストコーストジャズへの潮流を感じさせます。

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