リッチー・バイラーク 『ヒューブリス』 Richard Beirach “Hubris” 193



美しすぎるソロピアノ――『ケルン・コンサート』の次に聴くべきはこれでしょう。1970年代、チック・コリアの『Piano Improvisations Vol.1』から始まったといわれるソロピアノブーム。この表現のひらめきを感じさせる芸術的な傑作に比べるなら、リッチー・バイラークによる本作『ヒューブリス』はみずみずしい情感をたたえた叙情的な名作。何といっても#1 “Sunday Song”。憂いの予感に立ち上がる旋律の美しさ。息を凝らして聴いて、つい溜め息がでてしまいます。全編、憂愁のグレートーンですが、#8 “The Pearl” のほのかな明るさと伸びやかな広がりをみせる演奏もきれい。ラストに再び繰り返される “Sunday Song” のリフレインもアルバムのトータルな印象を強めています。ちなみに彼にはもう一枚よく知られている名盤『ELM』がありますが、こちらの#1 “Sea Priestess” で聴けるのも吹き抜ける風のように清々しい、素敵すぎるピアノです。


1. Sunday Song
2. Leaving
3. Koan
4. Osiris
5. Future Memory
6. Hubris
7. Rectilinear
8. The Pearl 
9. Invisible Corridor / Sunday Song – Monday


Richard Beirach (p)
Recorded 1977


【 リッチー・バイラーク もう一枚の名盤 】


ELM (1979)
ジョージ・ムラーツ(b)、ジャック・ディジョネット(ds)とのピアノトリオ作品