耳をつんざくような絶叫がサックスからほとばしる。#1 “You’ve Got To Have Freedom” はアドレナリン大放出の快感トラック。ノンストップで走り続けるピアノもいい。この疾走感。一転してリスペクトしてやまないジョン・コルトレーン作曲の美しいバラード#2 “Naima”、明るい楽園ムード漂う#4 “Speak Low”。#6 “Africa” は大地を踏み鳴らすような祝祭的リズムとミニマルに叫ばれる肉声、そしてその転調に意表をつかれます。#7 “Heart To Heart” はジャズクラブでひっそり演奏されるような都会的な趣きのバラード。コルトレーン・ミュージック継承者としての側面ばかりがクローズアップされがちですが、その多様なジャズ表現に魅せられます。
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カテゴリー: ワンホーンジャズ名盤
フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン 『アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリス』 Phil Woods & His European Rhythm Machine “Alive And Well In Paris” 150
1968年6月5日、ロバート・ケネディ暗殺。兄のジョン・F・ケネディに続き、凶弾に倒れたアメリカの希望の星 “ボビー” へ捧げられたレクイエム#1 “And When We Are Young” 「若かりし日」。狂おしいまでの情熱をぶつけ、悶えるように吹き続けます。チャーリー・パーカーを信奉し、彼の死後、その夫人と結婚。激動の60年代アメリカのジャズシーンの荒波にもまれ、68年にヨーロッパへ渡り心機一転吹き込んだアルバム。奔放にダイナミックに吹きまくるフィル・ウッズ。極限のテンションで一体化するリズム・セクション。昇華されるフラストレーションに熱き血潮がたぎります。
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ジョニー・グリフィン 『ザ・ケリー・ダンサーズ』 Johnny Griffin “The Kerry Dancers” 151
「学芸会のような演奏でいいのよ」――いつだったかジャズ喫茶のママがこのレコードをかけながら、そう教えてくれた一枚。「学芸会」というのは、いい意味で折り目正しいオーソドックスな演奏ということでしょうか。ジョニー・グリフィンのなめらかな琥珀色のトーンが流れ、かすかな湯気がゆらめくカップに、金属質の振動を伝えるスプーン。ミドルテンポの曲をただ珈琲と味わうだけ。
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矢野沙織 『Yano Saori』 163
溌剌とした伸びやかなブロー――ここで聴かれる野太いストレートなテナーは、吹くことの純粋な楽しさを伝えてくれます。選曲もチャーリー・パーカーの#1 “Confirmation” 「コンファーメーション」 をはじめ、名スタンダードを集めた胸のすく直球勝負。今ではすっかり大人の女性へと成長し、今後も楽しみな存在です。このアルバムは、矢野沙織16歳のデビュー盤。
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ソニー・クリス 『ゴー・マン!』 Sonny Criss “Go Man!” 176
チャーリー・パーカー直系のアルトプレイヤー、ソニー・クリスのワンホーンによるスタンダード集。映画『ローマの休日』を彷彿とさせるジャケットもおしゃれ。ソニー・クリスが高く舞い上がるようなアルトなら、ソニー・クラークは道なりに走りゆく軽快なピアノ。この高低のコントラストがこのアルバムの面白さでしょうか。しかしこのアルトの音色、どこか哀しげに響きます。
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