マリーナ・ショウ 『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ?』 Marlena Shaw “Who Is This Bitch, Anyway?” 101


BARで口説いてくる男をカッコよく振り切る女――そんな台詞劇で幕を開けるこのアルバム。楽曲、歌唱、演奏のどれもが余裕しゃくしゃくとしていて小粋。暑苦しくない爽やかな歌唱に好感がもてます。ロバータ・フラックの名曲#4 “Feel Like Makin’ Love” は勿論のこと、#2 “You Taught Me How To Speak In Love”、#3 “Davy”、#7 “You” などのバラードも清々しく胸にしみます。エキゾチックな雰囲気のあるジャケットもCOOL!夏の海へ出かける車の中で聴きたくなるような一枚です。

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板橋文夫 『渡良瀬』 Fumio Itabashi “Watarase” 102


これぞ和ジャズの大傑作!ソロピアノで繰り出される力強い演奏から響いてくるのは、軽薄なオリエンタリズムでは決してない、たくましい大和魂の鼓動。#5 「渡良瀬」とは、板橋文夫が少年時代に過ごした群馬、埼玉を流れている渡良瀬川のこと。この圧倒的なうねりと流れのダイナミズムに身を任せると、溢れ出るような郷愁の念にかられるのは、日本人だからでしょうか。

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鈴木勲 『ブロー・アップ』 Isao Suzuki “Blow Up” 103


ハードボイルド気分でおすすめしたくなる日本のジャズの金字塔『Blow Up』。70年代日本のジャズの一つの到達点と言っても過言ではないでしょう。緩急自在のドラマティックな展開、活気みなぎる迫力の演奏を収録したこのオリジナリティ溢れるアルバムは、1973年度 スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞 日本ジャズ賞に輝きます。特に#3 “Blow Up” 、「無茶苦茶カッコいい」の一言に尽きます。ぶっちぎりなスピードにたわむ鈴木勲のべース弦、その旋律が華やかに跳ね回る菅野邦彦のピアノ、繊細かつ大胆に炸裂するジョージ大塚ドラムス。嗚呼、この三位一体の弾丸に魂を打ち抜かれるカタルシス!

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富樫雅彦 『ザ・バラード』 Masahiko Togashi “Ballad My Favorite” 104


そうです、そうです、こういう大人のバラッド集が聴きたいのです。細心の注意を払うように演奏されたスタンダードの数々。その繊細で内省的なアプローチは、深遠な広がりと崇高な美しさで魅了してくれます。スピリチャルな響きは富樫雅彦(パーカッション)ならでは。ピアノの佐藤允彦もゆったりと構えて応え、録音もよし。深く息を吐いて落ち着くような密度の高い静寂を堪能できます。

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フレディ・レッド 『パリの空の下』 Freddie Redd “Under Paris Skies” 105


フレディ・レッドの奏でる哀愁のメロディがたまらない。ある雑誌で紹介されていて、何となくジャケ買いしたCDです。あまりこのピアニストについて知らないのですが、しいて言うならクセのないデューク・ジョーダンのような感じでしょうか。全6曲トータルなまとまりもあり、特に#5 “You” がグッときます。落ち着いた陰りのあるメランコリックなピアノトリオ盤としておすすめです。

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