マイルス・デイビスが映画のラッシュを観ながら即興で演奏し、音楽をつけたというもはや伝説の映画『死刑台のエレベーター』。何かが起こりそうな不穏な雰囲気をかもし出すトランペットの音色は、ジャズのスタイリッシュな魅力を引き出したと言えるのではないでしょうか。自身もジャズを演奏した小説家ボリス・ヴィアンは次のように語っているそうです。
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マイルス・デイビス 『ユア・アンダー・アレスト』 Miles Davis “You’re Under Arrest” 094
ナウい! これ、80年代のキャッチーなポップフィーリング満載なんです。なにせマイルスの格好といったらDCブランドに身を包み、手にはトランペット……ではなくライフルなんですから。一体彼に何があったのでしょう。#1 “One Phone Call / Street Scenes” にはスティングの声が吹き込まれ(高額なギャラでレコード会社ともめ、結局マイルスの自腹に)、選曲もマイケル・ジャクソンの#2 “Human Nature”、シンディ・ローパーの#7 “Time After Time”、シンセや打ち込みサウンドにマイルスのデリケートにかすれるトランペットの音色が絡みます。浮かれたポップサウンドと侮るなかれ、ここには常に革新を続けた「帝王」の気高い志があります。
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マイルス・デイビス 『ジャック・ジョンソン』 Miles Davis “A Tribute to Jack Johnson” 109
「お望みなら世界最高のロックバンドをつくってやろうか」喧嘩上等!マイルスのロック宣言のもとに発表されたアルバム。この作品は黒人で初めて世界ヘビー級王者になったボクサーの映画『ジャック・ジョンソン』のサウンドトラック。壮大なグルーブのうねりの中でジョン・マクラフリンのギターとマイルスのトランペットが絡み、あまりのカッコよさに悶絶必死のエレクトリック・マイルス・ミュージック。男子たるもの、マイルスを聴くべし!
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マイルス・デイビス 『イン・ア・サイレント・ウェイ』 Miles Davis “In a Silent Way” 110
アンビエント・ミュージック……。早い、早すぎる……。ブライアン・イーノに先んじること約10年。この何とも形容しがたい静的な浮遊感を漂わせる前衛作は大傑作『ビッチェズ・ブリュー』以前に発表され、その後のフュージョンシーンの原点となりました。ハービー・ハンコック、チック・コリア、ジョー・ザウィヌルと次世代を担う3人の天才キーボーディストを擁した奇跡的なアルバム。エレクトリック・マイルスの静謐なる黎明。
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マイルス・デイビス 『ドゥー・バップ』 Miles Davis “Doo-Bop” 189
マイルス・デイビスのラスト・アルバム――制作中にマイルスが亡くなってしまったので、ラッパーのイージー・モー・ビーが収録された音源をもとに完成。全編ヒップホップのリズムにマイルスのトランペットがのり、#2 “Doo Bop Song”、#5 “Blow”、#7 “Fantasy” はなんとラップナンバーです。「Be-Bop(ビバップ)」と「Doo-Wop(ドゥーワップ:黒人のスキャットもするコーラススタイルのポップス)」で「Doo-Bop」。この掛け合わせのインパクト。引退から復帰した晩年のマイルスが、ポップスターのようにトランペットで「歌う」演奏もまた魅力的。彼は成熟の先にあるただ一つの「完成」では決して満足せず、常に時代の流れに向きあい「変化」を追い求めたのでしょう。
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