チャールス・ミンガス 『道化師』 Charles Mingus “TheClown” 107


聴けば血がたぎってしまうのです。#1 “Haitian Fight Song” 「ハイチ人の戦闘の歌」、これぞチャールズ・ミンガスの真骨頂。生殺しのようなじらしの後の爆発、その悦楽。チャーリー・パーカーへのオマージュ#3 “Reincarnation of a Lovebird” のゾクゾクするような艶かしいサックスと躍動するようなベースラインもたまりません。そして、ナレーションと共に演奏される#4 “The Clown” は、ロックのフランク・ザッパジェスロ・タルなどを思わせるアプローチで、ミュージック クリエイターとしてのユニークな革新性に感服します。名盤『直立猿人』の約1年後に吹き込まれたミンガスの創造性が横溢する意欲作です。

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ケニー・ドーハム 『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』 Kenny Dorham “‘Round About Midnight At The Cafe Bohemia” 112


ハードバップの傑作! ケニー・ドーハム率いる「ジャズ・プロフェッツ」の唯一のライブ録音。ファンキーな節回しを信条とするピアニスト、ボビー・ティモンズ。これまたグルービーなギタリスト、ケニー・バレル。『直立猿人』の名演で名高いテナー奏者J.R.モンテローズ。そしてストレートに実直なバッパーぶりを発揮するトランペッター、ケニー・ドーハム。これらの面々が絶妙に均衡を保ちながらこれぞハードバップという演奏でグイグイ惹き付けます。これ程までに魅力的なアルバム、そうはないのでは?

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バド・パウエル 『ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1』 Bud Powel “The Amazing Bud Powell, Volume One” 118


ブルーノートのバド・パウエルがいいんです!ビバップピアノの巨人バド・パウエルですが、RouletteやVerveなどのレーベルにも多くの傑作を吹き込んでいます。でも私が好きなのはBlue Noteのバドなんです。卓越した芸術性や繊細な表現以上に何か人を驚かせてやろうというような楽しさに溢れていて、そのエンターテイメント性のある演奏がいいのです。本作は前半がクインテット、後半がトリオと2つの編成による演奏が収録されています。前半のハードバップでは、ファッツ・ナバロのブリリアントなトランペットと素敵に転がりまくるバドのピアノが魅力的。ソニー・ロリンズのテナーも演奏に厚みを加えます。後半のピアノトリオでは、コミカルなネーミングの#12 “Un Poco Loco” 「ウン・ポコ・ローコ」が有名でしょうか。キレがあってコクもある。なんだかビールのようですが、本領を発揮したバドは爽快な気分にさせてくれること間違いなし。Blue Noteのプロデューサー アルフレッド・ライオンがプロデュースしたかった「Amazing」(驚くべき、すごい)なバドがここにいます。

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MJQ モダン・ジャズ・カルテット 『ラスト・コンサート』 MJQ (The Modern Jazz Quartet) “The Last Concert” 130


「朝日のようにさわやかに」 「サマータイム」 「ホワッツ・ニュー」 「コンファメイション」 「ラウンド・ミッドナイト」 「チュニジアの夜」 「アンフェラス協奏曲」 「ジャンゴ」 「バグズ・グルーヴ」……全22曲CD2枚組。1974年のMJQ解散コンサートの完全盤です。ヴィブラフォンとピアノの掛け合いが特徴的な品のある端正な演奏ではありますが、そこにあるのは、まぎれもなく血がたぎってしまうようなジャズ・フィーリング。収録トータルタイム 2時間26分。これが最後という気迫が伝わってくる途切れない緊張感、22年に及ぶ活動の集大成となる演奏の完成度、聴き応えありすぎます。

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ナット・アダレイ 『ワーク・ソング』 Nat Adderley “Work Song” 149


たまにはこんなジャズが聴きたくなります。キャノンボール・アダレイの弟ナット・アダレイの名曲#1 “Work Song” 「ワーク・ソング」が収録されたファンキージャズ人気盤。ナット・アダレイのコルネットの音色が、ウェス・モンゴメリー(g)やボビー・ティモンズ(p)などファンキーの申し子たちの演奏に映えます。ノスタルジックに当時の熱気に想いを馳せると、ゆったりとした時間が流れ始めます。

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