アキコ・グレース 『ニューヨーク・スタイル』 Akiko Grace “New York Style” 121


Jump! ヴァン・ヘイレンのあの超有名曲です! ロックのジャズ化は騒ぐほどのことでもないですが、アレンジが斬新で、真っ白い光が差してくるようなすがすがしく爽やかな演奏になっています。その他にも、静から動へのドラマティックな展開にクリアな音が冴え渡る#3 “Greensleeves” 「グリーンスリーヴス」、ニューヨークの世界貿易センタービル跡地グラウンド・ゼロへ捧げられたという、静寂のなかピアノの一音一音に祈りを込めていく#8 “Play Song ~ for Grand Zero” など、その新鮮な感覚がジャズの未来を感じさせる意欲作です。

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山本剛 『ミッドナイト・シュガー』 Tsuyoshi Yamamoto “Midnight Sugar” 141


山本剛、渾身のデビューアルバム。圧倒的なブルースフィーリング、そして驚くのは既に成熟した大人のジャズを聴かせるということ。1974年、山本剛は当時25歳。――彼は高校3年時からピアノを本格的に始めたようですが、なんと独学だそうです――彼が初めてのアルバムで聴かせるのは、まるでジャズ道を極めた熟練のベテランが演奏するような渋さ。TBMレーベルで海外売上No.1。なるほど、確かに本物のジャズが聴ける傑作です。

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大給桜子 『バラード・ナイト』 Ogyu Sakurako “Sakurako Ballad Night” 143


おぎゅう・さくらこ――そう読みます。夭折の女流ジャズピアニスト。#1~4のかつてのレコードA面の流れが素晴らしいですが、特に彼女自作の#3 “Lady Moyo”。ジャケット裏に身をひそめている愛猫の曲で、しなやかな足取りや伸びやかな肢体を描写する演奏に、甘美に魅了されます。ひっそりと弾かれるピアノは彼女の嘘偽りのない感情の囁き。夜の心情に寄り添う音色が美しい。

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小曽根真 『Wizard Of Ozone~小曽根真ベスト・セレクション』 Makoto Ozone “Wizard Of Ozone” 145


2006年度 第32回 南里文雄賞を受賞した小曽根真の2000年発表のVerveレーベルのベスト盤。当時、アサヒ黒生のTVCM(自身も出演)曲として話題になったボズ・スキャッグスの名曲#11 “We’re All Alone” が出色。スケール感のある繊細なダイナミズム、より深遠な表現へと丁寧な粘りをみせる演奏が素晴らしい。

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関根敏行 『ストロード・ロード』 Toshiyuki Sekine Trio “Strode Road” 152


200枚しかプレスされなかった幻のレコード――1978年、老舗ライブハウスのハウスピアニストだった関根敏行(当時23歳)のマイナーレーベルの希少盤ですが、堂々たる名盤の風格。キレのある鍵盤さばきが心地よく、圧倒的な激しさがありながら、無垢な繊細さも見え隠れします。ここには激しさ故にはかない青春の匂いがあります。

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