ユセフ・ラティーフ 『イースタン・サウンド』 Yusef Lateef “Eastern Sounds” 126


深い森にこだますような神秘的な響き――#5 “Love Theme from Spartacus” 「スパルタカス 愛のテーマ」は心が洗われるような神聖な感動に包まれます。#1 “Plum Blossom” はバリー・ハリスのピアノも花咲くような牧歌的な味わい。#4 “Don’t Blame Me” の芳醇なバラードに酔い、#6 “Snafu” の渋味のあるハードバップを楽しむ。#8 “Love Theme from The Robe” は浪々と語られるもうひとつの愛のテーマ。マルチリード奏者ユセフ・ラティーフはジョン・コルトレーンがスピリチャル ジャズへ傾倒していく上で多大な影響を与えたと言われる人物。豊かな表現に一貫して流れる崇高な音色が美しい。

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ファラオ・サンダース 『アフリカ』 Pharoah Sanders “Africa” 127


耳をつんざくような絶叫がサックスからほとばしる。#1 “You’ve Got To Have Freedom” はアドレナリン大放出の快感トラック。ノンストップで走り続けるピアノもいい。この疾走感。一転してリスペクトしてやまないジョン・コルトレーン作曲の美しいバラード#2 “Naima”、明るい楽園ムード漂う#4 “Speak Low”。#6 “Africa” は大地を踏み鳴らすような祝祭的リズムとミニマルに叫ばれる肉声、そしてその転調に意表をつかれます。#7 “Heart To Heart” はジャズクラブでひっそり演奏されるような都会的な趣きのバラード。コルトレーン・ミュージック継承者としての側面ばかりがクローズアップされがちですが、その多様なジャズ表現に魅せられます。

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アール・ハインズ 『ヒア・カムズ』 Earl Hines “Here Comes” 128


Swing Piano! 小気味良くスイングするピアノが心地いい。アール “Fatha” ハインズ。「ジャズピアニストの父」と呼ばれるベテラン大御所ピアニスト。その彼が、当時ジョン・コルトレーン・カルテットで活躍する若手エルヴィン・ジョーンズと、リチャード・デイビスを従えて収録されたのが、本作。古き良き時代の雰囲気を伝えるアール・ハインズの軽快なタッチが、魅力を振りまいて惹きつけます。肩肘張らずに楽しめるピアノトリオ盤。ホッと一息つきたいときは、こういうジャズが聴きたくなります。

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ダラー・ブランド 『アフリカン・ピアノ』 Dollar Brand “African Piano” 129


ダラー・ブランドというアフリカ人ジャズピアニストのオリジナリティ溢れるソロ作品。アフリカンフィーリングを感じさせるオンリーワンの独特なピアノ。湧き上がってくる感情をダイレクトに鍵盤にぶつけるタイプのピアニストです。高音域に重点をおく録音のECMレーベルのソロピアノのせいか、そのスタイルにキース・ジャレットのような土着的ニュアンスを感じさせます。それでいて、ストイックな現代音楽にも通じる響きもあるような……。なんとも形容しがたいピアノですが、おそらく彼の演奏とECMの肌合いの違う組み合わせが、不思議な効果を生んでいるのではないでしょうか。

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MJQ モダン・ジャズ・カルテット 『ラスト・コンサート』 MJQ (The Modern Jazz Quartet) “The Last Concert” 130


「朝日のようにさわやかに」 「サマータイム」 「ホワッツ・ニュー」 「コンファメイション」 「ラウンド・ミッドナイト」 「チュニジアの夜」 「アンフェラス協奏曲」 「ジャンゴ」 「バグズ・グルーヴ」……全22曲CD2枚組。1974年のMJQ解散コンサートの完全盤です。ヴィブラフォンとピアノの掛け合いが特徴的な品のある端正な演奏ではありますが、そこにあるのは、まぎれもなく血がたぎってしまうようなジャズ・フィーリング。収録トータルタイム 2時間26分。これが最後という気迫が伝わってくる途切れない緊張感、22年に及ぶ活動の集大成となる演奏の完成度、聴き応えありすぎます。

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