ドン・フリードマン 『サークル・ワルツ』 Don Friedman “Circle Waltz” 131


ドン・フリードマン――当時はビル・エヴァンスのライバルと目されたピアニスト。知的で内省的なアプローチ、トリオの濃密なインタープレイ、そのリリシズムまで、思わずその演奏にエヴァンスを重ねてしまいます。#1 “Circle Waltz” は甘くゆらぐようなロマンティシズムが魅力的な佳曲。このアルバムは全編にわたりナイーブな気品が漂っていて、いつの間にかじっくりと耳を傾けてしまいます。

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レッド・ガーランド 『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』 Red Garland “When There are grey skies” 132


カクテルピアノ――ホテルのバーのラウンジなどでBGMとして弾かれるピアノと揶揄されたレッド・ガーランドの引退作(71年にカムバック)。この言葉は否定的な意味合いで使われたようですが、良くも悪くも彼の演奏の特徴を言い表しているようです。ひとり物思いにひたりながら味わう珈琲よりも、素敵な恋人の隣で傾けるカクテルにレッド・ガーランドのジャズは似合いそう。品良くスイングするピアノもまた素敵です。

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菊地雅章 『ススト』 Masabumi Kikuchi “Susto” 133


壮大なるエレクトリック・グルーヴ・ミュージック――1978年頃、菊地雅章はエレクトリック時代のマイルス・デイビスのグループに参加する。しかし、リハーサルとレコーディングを繰り返すがアルバムは未発表。ギル・エバンスなど一流ミュージシャンとのコラボレーションを経た後、彼は日野皓正をはじめとする多数のミュージシャンを集め、ニューヨークと東京のスタジオで一大セッションを敢行する。そこで制作されたのが、『ススト』。マイルスと実現しようとしていた音楽は知る由もないが、菊地雅章は音がうねりとなって渦巻くようなこの音楽世界を完成させた。

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ザ・グレイト・ジャズ・トリオ 『アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』 The Great Jazz Trio “At The Village Vanguard” 134


ずいぶんと思い切ったネーミング……。自分ではこうは名乗れないよと思うのは、日本人だから? 「ハンク・ジョーンズ・トリオ」ではもの足りなかったのでしょうか。3人とも名前が売れてるからかな。ハンク・ジョーンズと言えば、名盤『サムシン・エルス』のピアノは彼ですね。演奏はもちろん名前負けしない良さなのだけれど。トニー・ウィリアムスの鉄壁な守備で、華麗な投球を見せるハンク・ジョーンズ、その球をしっかり受け止めるロン・カーターみたいな。でも、何で野球……。アメリカ人だから?

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デューク・エリントン 『マネー・ジャングル』 Duke Ellington “Money Jungle” 135


デューク・エリントン × チャールズ・ミンガス × マックス・ローチ――嘘みたいな組み合わせ。デューク・エリントンといえば、自身の楽団を率いたビッグバンドジャズの巨匠。チャールズ・ミンガスは、黒人の情念を独創的なジャズに昇華した個性派。マックス・ローチは、クリフォード・ブラウンと組み人気を博したハードバッパー。夢の異種格闘技戦のようにも感じますが、聴けばやはり、強烈!デューク・エリントンのモダニズムは同時期に録音された『Duke Ellington & John Coltrane』でも確認できますが、本作での強烈な圧でぐいぐい押しまくるピアノには、驚愕!このアルバムの張り詰めたような緊張感は、ちょっと怖いくらい。

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