山本剛 『ミッドナイト・シュガー』 Tsuyoshi Yamamoto “Midnight Sugar” 141


山本剛、渾身のデビューアルバム。圧倒的なブルースフィーリング、そして驚くのは既に成熟した大人のジャズを聴かせるということ。1974年、山本剛は当時25歳。――彼は高校3年時からピアノを本格的に始めたようですが、なんと独学だそうです――彼が初めてのアルバムで聴かせるのは、まるでジャズ道を極めた熟練のベテランが演奏するような渋さ。TBMレーベルで海外売上No.1。なるほど、確かに本物のジャズが聴ける傑作です。

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中本マリ 『アンフォゲタブル!』 Mari Nakamoto “Unforgettable!” 142


ジャズバーでムーディーに歌う女性シンガー――まさにそんなイメージのジャケットも魅力的な、中本マリ26歳のデビュー盤。すでに成熟したような安定感のある落ち着いた歌唱と、豊かな情感を漂わせるハスキーヴォイス。ピアノトリオに#1 テナー、#5 ギター、#8 フルート、#9 テナー&ギターを加える伴奏も素晴らしい。ブルージーなアルバムの統一感がありながらも、変化をもたせるデビュー盤への行き届いた配慮は、さすがTBMレーベル。宮沢昭のテナーも心地よく響く#1 “Unforgettable” 「アンフォゲタブル」、#7 “But Beatiful” 「バット・ビューティフル」や#9 “After You’ve Gone” 「アフター・ユーブ・ゴーン~君去りしのち」などは、聴くたびに胸が切なくなります。

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大給桜子 『バラード・ナイト』 Ogyu Sakurako “Sakurako Ballad Night” 143


おぎゅう・さくらこ――そう読みます。夭折の女流ジャズピアニスト。#1~4のかつてのレコードA面の流れが素晴らしいですが、特に彼女自作の#3 “Lady Moyo”。ジャケット裏に身をひそめている愛猫の曲で、しなやかな足取りや伸びやかな肢体を描写する演奏に、甘美に魅了されます。ひっそりと弾かれるピアノは彼女の嘘偽りのない感情の囁き。夜の心情に寄り添う音色が美しい。

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ケイコ・リー 『ライヴ・アット・ベイシー~ウィズ・ハンク・ジョーンズ~』 Keiko Lee “Live at ‘BASIE’ with Hank Jones” 144


ケイコ・リーとハンク・ジョーンズ。岩手のジャズ喫茶「ベイシー」でのライブ録音。聴き馴染みのあるスタンダードの選曲で、深く低い声のケイコ・リーと渋いながらも華やかなピアノのハンク・ジョーンズ(録音時87歳)のくつろぎのライブ。大人のジャズがじっくりと味わえる良盤。

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小曽根真 『Wizard Of Ozone~小曽根真ベスト・セレクション』 Makoto Ozone “Wizard Of Ozone” 145


2006年度 第32回 南里文雄賞を受賞した小曽根真の2000年発表のVerveレーベルのベスト盤。当時、アサヒ黒生のTVCM(自身も出演)曲として話題になったボズ・スキャッグスの名曲#11 “We’re All Alone” が出色。スケール感のある繊細なダイナミズム、より深遠な表現へと丁寧な粘りをみせる演奏が素晴らしい。

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