リッチー・バイラーク 『ヒューブリス』 Richard Beirach “Hubris” 193


美しすぎるソロピアノ――『ケルン・コンサート』の次に聴くべきはこれでしょう。1970年代、チック・コリアの『Piano Improvisations Vol.1』から始まったといわれるソロピアノブーム。この表現のひらめきを感じさせる芸術的な傑作に比べるなら、リッチー・バイラークによる本作『ヒューブリス』はみずみずしい情感をたたえた叙情的な名作。何といっても#1 “Sunday Song”。憂いの予感に立ち上がる旋律の美しさ。息を凝らして聴いて、つい溜め息がでてしまいます。全編、憂愁のグレートーンですが、#8 “The Pearl” のほのかな明るさと伸びやかな広がりをみせる演奏もきれい。ラストに再び繰り返される “Sunday Song” のリフレインもアルバムのトータルな印象を強めています。ちなみに彼にはもう一枚よく知られている名盤『ELM』がありますが、こちらの#1 “Sea Priestess” で聴けるのも吹き抜ける風のように清々しい、素敵すぎるピアノです。

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綾戸智絵 『LIVE!』 Chie Ayado “LIVE!” 195


「聴いときやー!」――ご存知、国民的ジャズシンガー綾戸智絵の2枚組ライブアルバム。[Disc1]が六本木のジャズクラブ「Sweet Basil 139」(300人規模)、[Disc2]が札幌のコンサートホール「キタラ」(2,000人規模)というそれぞれの会場の特色がうまくでたソロライブ録音。

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