ミルドレッド・ベイリー 『ロッキンチェア・レディ』 Mildred Bailey “The Rockin’ Chair Lady” 139


魂までビブラートする歌唱――白人最初の女性ジャズシンガーとして、またそのチャーミングな豊満体型から愛されたミルドレッド・ベイリー。本作はDECCAレーベルに残された録音をまとめて収録したもの。趣のある優しい歌声がじんわりと心に響く#1 “Rockin’ Chair”、#8 “Georgia On My Mind” 「我が心のジョージア」は彼女の代表的なヒット曲。このアルバムには古き良きアメリカが息づいています。

このページを読む →


エディ・コスタ 『ハウス・オブ・ブルー・ライツ』 Eddie Costa “The House Of Blue Lights” 138


エディ・コスタ――ヴィブラフォン奏者にしてピアニスト。1957年度ダウンビート誌国際批評家投票において、ヴァイヴとピアノの2部門で最優秀新人に選出という快挙を成し遂げました。譜面に強かったため、また妻と4人の子供との生活のため、主にスタジオ・ミュージシャンとして精力的に活動したといいます。ヴィブラフォン奏者としてサイドにまわった録音が多かった彼が、ピアニストとしてのオリジナリティを発揮させた意欲的な作品。パーカッシブに繰り出されるめくるめくフレーズはとても個性的。しかし残念なことに31歳という若さで自動車事故により夭折します。本作は、その生涯に一枚だけ残されたピアノトリオ盤。

このページを読む →


ビル・エヴァンス 『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』 Bill Evans “You Must Believe In Spring” 137


おそらく最も美しいジャズアルバムの一枚――このアルバムはビル・エヴァンスの死後発売され、その内容も、長年連れ添い彼との別れから自殺してしまった恋人へ捧げた#1 “B Minor Waltz (For Ellaine)”、同じく自殺した仲の良かった兄へ捧げた#4 “We Will Meet Again (For Harry)” など、別れにまつわるものに……。ミッシェル・ルグラン作の#2 “You Must Believe in Spring”、美しい旋律に漂う優しさと悲しみ。映画監督ロバート・アルトマンの代表作のテーマ#7 “Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)” は、光を放つようなピアノの音色が駆け上がっていく至高の演奏、そして訪れる静寂。

このページを読む →


ホレス・パーラン 『アス・スリー』 Horace Parlan “Us Three” 136


黒く、渋く、格好良し――ジャケットデザインも目を引くホレス・パーランの人気盤。粘りのあるパワフルなノリで引き込み一気に突き進む#1 “Us Three”、ゆっくりと抑制をきかせたメロウなバラッド#2 “I Want To Be Loved”、軽快なスタンダードをブルーに染める#3 “Come Rain or Come Shine” 「降っても晴れても」等、アーシーな演奏が魅力的なアルバムです。ブルーノートらしい重低音ピアノトリオ・サウンドの真骨頂!

このページを読む →


デューク・エリントン 『マネー・ジャングル』 Duke Ellington “Money Jungle” 135


デューク・エリントン × チャールズ・ミンガス × マックス・ローチ――嘘みたいな組み合わせ。デューク・エリントンといえば、自身の楽団を率いたビッグバンドジャズの巨匠。チャールズ・ミンガスは、黒人の情念を独創的なジャズに昇華した個性派。マックス・ローチは、クリフォード・ブラウンと組み人気を博したハードバッパー。夢の異種格闘技戦のようにも感じますが、聴けばやはり、強烈!デューク・エリントンのモダニズムは同時期に録音された『Duke Ellington & John Coltrane』でも確認できますが、本作での強烈な圧でぐいぐい押しまくるピアノには、驚愕!このアルバムの張り詰めたような緊張感は、ちょっと怖いくらい。

このページを読む →