ケイコ・リー 『ライヴ・アット・ベイシー~ウィズ・ハンク・ジョーンズ~』 Keiko Lee “Live at ‘BASIE’ with Hank Jones” 144


ケイコ・リーとハンク・ジョーンズ。岩手のジャズ喫茶「ベイシー」でのライブ録音。聴き馴染みのあるスタンダードの選曲で、深く低い声のケイコ・リーと渋いながらも華やかなピアノのハンク・ジョーンズ(録音時87歳)のくつろぎのライブ。大人のジャズがじっくりと味わえる良盤。

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大給桜子 『バラード・ナイト』 Ogyu Sakurako “Sakurako Ballad Night” 143


おぎゅう・さくらこ――そう読みます。夭折の女流ジャズピアニスト。#1~4のかつてのレコードA面の流れが素晴らしいですが、特に彼女自作の#3 “Lady Moyo”。ジャケット裏に身をひそめている愛猫の曲で、しなやかな足取りや伸びやかな肢体を描写する演奏に、甘美に魅了されます。ひっそりと弾かれるピアノは彼女の嘘偽りのない感情の囁き。夜の心情に寄り添う音色が美しい。

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中本マリ 『アンフォゲタブル!』 Mari Nakamoto “Unforgettable!” 142


ジャズバーでムーディーに歌う女性シンガー――まさにそんなイメージのジャケットも魅力的な、中本マリ26歳のデビュー盤。すでに成熟したような安定感のある落ち着いた歌唱と、豊かな情感を漂わせるハスキーヴォイス。ピアノトリオに#1 テナー、#5 ギター、#8 フルート、#9 テナー&ギターを加える伴奏も素晴らしい。ブルージーなアルバムの統一感がありながらも、変化をもたせるデビュー盤への行き届いた配慮は、さすがTBMレーベル。宮沢昭のテナーも心地よく響く#1 “Unforgettable” 「アンフォゲタブル」、#7 “But Beatiful” 「バット・ビューティフル」や#9 “After You’ve Gone” 「アフター・ユーブ・ゴーン~君去りしのち」などは、聴くたびに胸が切なくなります。

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山本剛 『ミッドナイト・シュガー』 Tsuyoshi Yamamoto “Midnight Sugar” 141


山本剛、渾身のデビューアルバム。圧倒的なブルースフィーリング、そして驚くのは既に成熟した大人のジャズを聴かせるということ。1974年、山本剛は当時25歳。――彼は高校3年時からピアノを本格的に始めたようですが、なんと独学だそうです――彼が初めてのアルバムで聴かせるのは、まるでジャズ道を極めた熟練のベテランが演奏するような渋さ。TBMレーベルで海外売上No.1。なるほど、確かに本物のジャズが聴ける傑作です。

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高柳昌行と新世紀音楽研究所 『銀巴里セッション』 Masayuki Takayanagi “Ginparis Session” 140


静寂の森から鼓動を響かせ、やがてその姿をあらわす#1 “Green Sleeves”。高柳昌行は朗々とギターを爪弾き、魂をむき出しにするような演奏で聴く者を圧倒する。演奏が止まってしまうのではないか……。ハラハラさせる緊張感をはらみながらゆっくりと進んでゆく#2 “Nardis”。菊地雅章が虫の羽音のような唸り声を上げ続けている。日野皓正のトランペットが高らかに鳴り響く#3 “If I Were Bell”。浮遊する音で描く幻想的な光景#4 “Obstruction”。高柳昌行、金井英人、菊地雅章、冨樫雅彦、日野皓正、山下洋輔……、のちにその名を轟かす若き逸材達による『銀巴里セッション』。1963年6月26日、深夜の記録。

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