マッコイ・タイナー 『バラードとブルースの夜』 McCoy Tyner “Nights of Ballads & Blues” 100


夜にジャズは良く似合う――収録当時、ジョン・コルトレーンの黄金カルテットで人気を博していたマッコイ・タイナーのバラッドとブルースのトリオ盤。コルトレーンの『Ballads』のヒットを受けての録音でしょうか。マッコイの品のあるくつろぎに満ちたピアノがゆったりと堪能できます。静かな夜、ダウンライトの灯りでジャズを聴く。「ジャズっていいなぁ……」としみじみと感じる至福のひと時であります。

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アート・ファーマー 『アート』 Art Farmer “ART” 099


メロウなブロウ。暖かみのあるフレージングが心なごませるワンホーンのバラード集。丹念に塗り重ねられたタッチが、ある種の誠実さを伝える端正な絵画のような印象でしょうか。絵画もジャズもハートに訴えかけてくる作品こそが名作。宿命的な名をもつトランペッターのこの作品も叙情的な美しさが豊かに表現された「ART」でしょう。

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ジャッキー・マクリーン 『スイング・スワング・スインギン』 Jackie McLean “Swing, Swang, Swingin'” 098


タイトルからして勢いの感じられるジャッキー・マクリーン最大のヒット作。爽快にブローしています。楽曲も#1 “What’s New?” 「ホワッツ・ニュー」など耳馴染みのよいスタンダード中心で、とても聴きやすく楽しめるアルバムです。やっぱりジャズは、「スイングしなけりゃ、意味ないね」。

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ブラッド・メルドー 『ソングス:アート・オブ・ザ・トリオ Vol.3』 Brad Mehldau “The Art Of The Trio, Vol. 3” 097


ジャズ新世代を担うピアニスト、ブラッド・メルドー。彼は意外性のあるロックバンドの楽曲を度々取り上げ、深遠な響きをもつジャズへ仕立てあげます。ここでもレディオ・ヘッドの楽曲#4 “Exit Music (For a Film)” が素晴らしい仕上がり。アルバムの半分は彼のオリジナル曲で、メランコリックなミディアムナンバーが、繊細で静謐な世界を構築しています。自筆によるライナーノーツにも、彼なりのこだわりが表れていて何とも頼もしい。

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キース・ジャレット 『枯葉』 Keith Jarrett Trio “Still Live” 096


現在、人気、実力共にピアノトリオの最高峰とも言えるキース・ジャレット・スタンダーズの1986年に行われたミュンヘンでのライブ録音。ここ近年リリースラッシュ状態で非常に多作ではありますが、何故このアルバムかと言いますと、ズバリ、選曲です。曲目の通り、人気スタンダードのオンパレード。馴染みの曲を新鮮な解釈で奏で、キースならではの耽美的なメロディーが、鍵盤に次々と生み落とされます。やはりキースには美しい旋律を弾いて欲しい。

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