デビッド・ストーン・マーチンのイラストが素敵なジャケット盤は、複数の音源を集めたウィズ・ストリングス・マスターテイク盤です。――他にもいくつかのバージョンがあるようです。ちなみにこのジャケットが大好きな私は、クリスマスにはツリーの横に飾ったりします――曲目を見てお分かりのとおりかなりの曲数で、正直後半は聴き疲れするかも……、個人的な意見では9曲目あたりまでだとしっくりくるかな。何はともあれ、レトロなムード感がたまらない名盤であることには間違いありません。ジャケットでも歌っている「バード」(チャーリー・パーカーの愛称)の演奏は、いつものようにアドリブ炸裂というよりは、オーソドックスに情感を込めて吹いています。歌心溢れる#2 “Everything Happens To Me” 「エブリシング・ハプンス・トゥ・ミー」は素晴らしく、くり返し聴いてしまいます。
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投稿者: JAZZCD.JP
アート・ブレイキー 『バードランドの夜』 Art Blakey Quintet “Night at Birdland Vol.1 ,Vol.2” 064
1954年2月21日の夜、ジャズクラブ バードランド。ここでのライブ録音がハードバップの誕生、そしてジャズ・メッセンジャーズの結成へと歴史的に重要な意味をもつことになります――このクラブの名物司会者ピー・ウィー・マーケットのかん高い独特の声のアナウンスに導かれ演奏がスタート。順調な滑り出し、各メンバーが高水準の演奏を難なくこなしていく……、何だか完璧すぎて空恐ろしくなるほど。それぞれが気負っている感じがまったくなく、流れるように至上の演奏を展開していく様は、バードランドにジャズの神様が舞い降りたよう――
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ボビー・ティモンズ 『ジス・ヒア』 Bobby Timmons “This Here is Bobby Timmons” 063
「モーニン」の作曲者として有名なピアニスト、ボビー・ティモンズ。とにかく黒人らしいファンキーなピアノが彼の持ち味でしょう。このアルバムはトリオでの演奏なので、そんな彼のノリノリなピアノが心行くまで楽しめます。それぞれが個性的かつ実力派のプレイヤー集団ジャズメッセンジャーズとは一味違った、ラフで気楽な演奏が心地いい。でも、やはり#1 “This Here”、#2 “Moanin’”、#6 “Dat Dere”、#9 “Joy Ride” のオリジナル曲を聴くと、あらためてファンキーでインパクトのある作曲能力の高さに感心します。
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アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』 Art Blakey & The Jazz Messengers “Complete Concert At Club Saint Germain” 062
まさか「モーニン」を「朝」だと思っていませんか? 「moan」とは「うめく」という意味です。[disc1]#5にその「モーニン」も収録されているこのサンジェルマンでのライブ盤は凄い。選曲よし、メンバーよし、まさにノリにノってる演奏なのですが、刺激された聴衆も熱狂、ライブは興奮のるつぼと化します。おそらく録音スタッフか誰かの「シー!」という注意も聞かず、抑えられなくなった観客がヤンヤヤンヤの大騒ぎ、その様子が生々しく収録されています。曲名にもクレジットされている「Hazel」とは、ひときわ大きな声で盛り上げているヘイゼル・スコットという女流ピアニストだそうです。全曲、ムンムンとした熱気に大興奮のライブ盤。最高!
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ノラ・ジョーンズ 『ノラ・ジョーンズ』 Norah Jones “Come Away With Me” 061
ジャズシンガーというよりは、フォーク系シンガーソングライターと紹介する方がしっくりくるノラ・ジョーンズ。このデビュー盤で記録的なセールス(全世界で1800万枚とも言われています※2004年時)を達成します。21世紀の『Tapestry』でしょうか。アコースティックのピアノやギターのシンプルな伴奏に少し低めの優しく落ち着いたノラの声がのります。この独特の彼女の声は、天性のヒーリングボイスでしょう。ジャズ、フォーク、カントリーなどをクロスオーバーし、コンテンポラリーミュージックシーンにおいて、その動向が注目される存在となった彼女。まだまだ、ジャズ界からスーパースターが生まれることを証明してくれた功績は、大きいのではないでしょうか。
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