ソロピアノ完全即興による1975年、ドイツのケルンコンサートのライブ盤。26分もある#1 “Koln, January 24, 1975 Part I” は以前、車のCMにイントロ部分が使われていました。美しいメロディーとドラマチックに展開する構成、これはひとつの奇跡でしょう。ECMレコードらしく透き通るような響きのある録音も印象的。どこまでも続いていくような壮大なグルーブ、即興にきらめくメロディー。ひとつのコンサートの記録が、永続的な輝きと感動を伝えてくれます。限りなく美しい名盤。
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投稿者: JAZZCD.JP
セロニアス・モンク 『セロニアス・ヒムセルフ』 Thelonious Monk “Thelonious Himself” 054
時を止めてしまうような沈黙と、とつとつと発せられるピアノの響き――おそらくあらゆるピアニストの中で、最も独創的なピアニストではないでしょうか。一聴すれば、「セロニアス・モンク」というその名前と共に忘れることができません。#7 “’Round Midnight” 「ラウンド・ミッドナイト」は彼の作曲中、最も知られたスタンダードですね。演奏中に踊り始めたり、普段はとても寡黙だったりと、その人となりもユニークだったようです。よくピアノの習い始めに「卵を持つように(手のひらを丸く楽に)弾いて」などと言われますが、モンクは指をピンッとまっすぐ伸ばしてかなりの力みよう。「俺流」、素敵です。
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ビル・エヴァンス 『アローン』 Bill Evans “Alone” 053
ビル・エヴァンスのピアノをとことん堪能できるソロ作品。独りで紡ぎだされるメロディーは、トリオより心なしか流麗に、くっきりと浮かび上がります。#1 “Here’s That Rainy Day” 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」など美しい印象が鮮明で、特に14分半に渡る#5 “Never Let Me Go” 「ネバー・レット・ミー・ゴー」のリリカルに豊かなニュアンスとドラマティックな曲想をもつ演奏は秀逸。1970年代はソロピアノブームとなりますが、チック・コリアやキース・ジャレットに先駆けての長尺なソロピアノ・インプロビゼーションは、何だか嬉しくなります。
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リー・モーガン 『リー・モーガン Vol.3』 Lee Morgan “Lee Morgan Vol.3” 052
天才トランペッターのクリフォード・ブラウンの早すぎる死を悼んでベニー・ゴルソン(ts)が作曲した#3 “I Remember Clifford” は、しっとりとしたメロディーが心に沁みるレクイエム。このアルバムの全曲、ゴルソン作曲。この名演を残したもう一人の天才トランペッターのリー・モーガンも若くして亡くなることに……。
ある雪の日、ライブの休憩中に彼と愛人ヘレンが口論になった末、一発の銃声。前のめりに倒れ込んだリー、一瞬の自失状態から覚めたヘレンは泣き叫んでいます。彼女が銃で撃ってしまったのです。雪のため遅れて到着した救急車でなんとか病院へ運ばれましたが、彼は帰らぬ人となってしまいました。
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エロール・ガーナー 『ミスティ』 Erroll Garner “Plays Misty” 051
#1 “Misty” 「ミスティ」(misty:かすみのかかった、ぼんやりとした)作曲はエロール・ガーナー。このロマンティックで美しい曲は、空で生まれました。彼が飛行機の窓から空を眺めていて、このメロディが浮かんだと伝えられています。このエピソード、いいですよね。鍵盤の上を縦横無尽に跳躍する彼独特の演奏は、人を楽しませる魅力に溢れたものです。ジャズピアニスト山本剛がこの曲を十八番としていますが、この旋律に導かれ静かに深く沈んでいくような演奏は素晴らしいです。こちらも是非。
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