ドナルド・バード 『フュエゴ』 Donald Byrd “Fuego” 040


あぁ……もぅ……たっ、たまらん。体も動いてまう。ナンやろ、この感じ?そや、ファンキーやった!……そっ、そんなこの一枚は、その昔ジャズ喫茶でリクエストの多い人気盤だったそうです。全体的にはパワフルでノリの良いアーシーなアルバム。なぜそれ程までに愛されたのかは、一聴すればお分かりになるでしょう。#1 “Fuego”、#4 “Low Life” のフレーズ、ゴスペル調の#6 “Amen” などかなりインパクトあり。でも、#3 “Funky Mama” ってどんなおかん?

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ホレス・シルバー 『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』 Horace Silver “Blowin’ the Blues Away” 039


一気呵成に描かれたドローイングのように演奏にも勢いがあってノリノリ。いわゆるこれが「ファンキー」でございます。ポルトガルの血を引いているホレス・シルバーは、他の黒人プレイヤーとは一味違った印象的な曲作り、リズミックな演奏などで独特の雰囲気があり、とても魅力的。「好っきやねん、ホレスのおっちゃん!」何故かファンキーと関西弁が合うような気がしてしまうのは私だけでしょうか。ホレスのおっちゃんファンになってしまった方は、おとんに捧げた名盤『Song for My Father』もおすすめです。

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ハンク・モブレー 『ディッピン』 Hank Mobley “Dippin'” 038


オレンジに塗りつぶされたジャケットがこれまた気合充分。全編にわたってノリの良いテナーを伸びやかに吹きまくります。それに負けじとトランペットやピアノの弾んだ演奏もイケてます。#1 “Dip” で時折みせるフレーズの鮮やかさ、ボサノバ調の有名曲#2 “Recado Bossa Nova” 「リカード・ボサ・ノバ」の哀愁のメロディと躍動感の絶妙なバランスはたまりません。バラードの#5 “I See Your Face Before Me” など感情表現も豊か。すっかりハンク・モブレーの虜になってしまったあなたにはブルーの名盤『Soul Station』もおすすめです。

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マル・ウォルドロン 『レフト・アローン』 Mal Waldron “Left Alone” 037


#1 “Left Alone” 「レフト・アローン」は、ジャズシンガー、ビリー・ホリデイが作詞、晩年に伴奏を勤めた彼が作曲したもの。ここでは亡きビリーの代わりに、ジャキー・マクリーンがすばらしい演奏を聴かせます。数年前マル・ウォルドロンの来日公演でのこと、彼はヘビースモーカーらしく、ベースソロなど演奏の合間に、ゆっくりとした動作で「カッ、チッ」とライターで火をつけ、細長い煙草を喫んでいました。そのたたずまいからは、モールス信号とも形容される彼独特のジャズそのものが発せられているようでした。くゆらせていた煙のように逝ってしまったのは、その公演の数ヵ月後のことです。このアルバムの沈鬱な美しさに魅せられた方は、ソロピアノ作品『All Alone』に耽溺されては如何でしょう。

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ジミー・スコット 『ホールディング・バック・ジ・イヤーズ』 Jimmy Scott “Holding Back the Years” 036


レコード会社の不当な待遇のもと辛酸を舐め、音楽シーンから離脱、歌い続けるも報われない……。遺伝によるホルモンの欠如により背が伸びず、声変わりもしていない “リトル” ジミー・スコット。70歳近くになりようやく注目を集め、彼の人生が凝縮されたかのような歌声は、多くの感動を呼び起こし絶賛されるようになります。インパクトのあるジャケットは、ポップ・アーチストのマーク・コスタビによるもの。彼を評価し手を差し伸べたのは、ルー・リードはじめ第一線で活躍する多くのアーチストたちでした。

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