ハービー・ハンコック 『処女航海』 Herbie Hancock “Maiden Voyage” 015


ピアノのタッチで描写されたゆらめく水面をトランペットのシップがまっすぐ進んでいく……。常にちがう表情を見せる海のように、いつ聴いてもこのアルバムは新鮮さを失いません。#1 “Maiden Voyage” 「処女航海」の瑞々しく繊細な表現には息をのみ、#5 “Dolphin Dance” のやさしいダンスに癒されます。 1960年代、新しいジャズのひとつの潮流となった「新主流派」の代表的名盤です。

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クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ・クインテット 『スタディ・イン・ブラウン』 Clifford Brown & Max Roach Quintet “Study in Brown” 014


マックス・ローチのドラミングにあおられて、ブラウニーが軽快に吹きまくり、メンバー一体となって駆け抜ける。嗚呼、このハードバップの格好良さ! #1 “Cherokee” 「チェロキー」の疾走感、#9 “Take the “A” Train” 「A列車で行こう」の汽車を模した表現も最高にクール。「チュニジアの夜」のようなアフロキューバン・ナンバー#5 “George’s Dilemma” 、#6 “Sandu” などクリフォード・ブラウン作の楽曲も魅力的です。ちなみに華麗なピアノを聴かせるリッチー・パウエルはバド・パウエルの弟。

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チャーリー・パーカー 『ストーリー・オン・ダイアル Vol.1』 Charlie Parker “Story on Dial Vol.1” 013


麻薬で朦朧となり、人に支えられながら演奏された#8 “Lover Man” にちなみ「ラバー・マン・セッション」として有名。フレーズが少し出遅れる感じとかちょっとハラハラしますが、それが逆に尋常でない凄みを感じさせ、引き込まれます。これ以外のセッションも収録され、アルバム全体的には明るい演奏が多いです。ノリにノってる#2 “Moose the Mooche” 「ムース・ザ・ムーチェ」、#3 “Yardbird Suite” 「ヤードバード組曲」は代表的な演奏。私はダンディーなボーカルもの#11 “This Always” がお気に入り。ディジー・ガレスピー、マイルス・デイビス、エロール・ガーナーなど有名どころの参加も多く、パーソネルを確認しながら聴いても楽しめます。

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ジョン・コルトレーン 『至上の愛』 John Coltrane “A Love Supreme” 012


「ジョン・コルトレーンの最高傑作」はたまた「初心者には向かない」等々、聴こうかどうしようか困惑するアルバムではないでしょうか?私はというと、それほど気負わずに、単純に「いいなぁ……」と聴いています。「私は聖者になりたい」と語った彼。「至上の愛」つまり「神の愛」がテーマでなので厳しさだけでなく、やはり包容力を感じます。「A Love Supreme……」と低く唱えるように歌う#1 “Acknowledgement” 「承認」から#4 “Psalm” 「賛美」の最後に到達する境地まで、聴き応えあります。

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ビル・エヴァンス 『ポートレイト・イン・ジャズ』 Bill Evans “Portrait in Jazz” 011


ビル・エバンスの迷宮。つまづきそうな緩急のあるピアノの音に誘われて、深く深く迷い込んでしまい……、ふと気がつくと、もうすっかりこの美しい世界の虜になっています。#2 “Autumn Leaves” 「枯葉」のためて、ためて、一気に滑り出す展開がスリリング。最後の静謐なグラデーションが消え入るまで、全曲にわたりそのミステリアスな魅力に酔ってしまいます。

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