ドン・フリードマン――当時はビル・エヴァンスのライバルと目されたピアニスト。知的で内省的なアプローチ、トリオの濃密なインタープレイ、そのリリシズムまで、思わずその演奏にエヴァンスを重ねてしまいます。#1 “Circle Waltz” は甘くゆらぐようなロマンティシズムが魅力的な佳曲。このアルバムは全編にわたりナイーブな気品が漂っていて、いつの間にかじっくりと耳を傾けてしまいます。
このページを読む →
カテゴリー: 白人のピアノトリオ名盤
ビル・エヴァンス 『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』 Bill Evans “You Must Believe In Spring” 137
おそらく最も美しいジャズアルバムの一枚――このアルバムはビル・エヴァンスの死後発売され、その内容も、長年連れ添い彼との別れから自殺してしまった恋人へ捧げた#1 “B Minor Waltz (For Ellaine)”、同じく自殺した仲の良かった兄へ捧げた#4 “We Will Meet Again (For Harry)” など、別れにまつわるものに……。ミッシェル・ルグラン作の#2 “You Must Believe in Spring”、美しい旋律に漂う優しさと悲しみ。映画監督ロバート・アルトマンの代表作のテーマ#7 “Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)” は、光を放つようなピアノの音色が駆け上がっていく至高の演奏、そして訪れる静寂。
このページを読む →
エディ・コスタ 『ハウス・オブ・ブルー・ライツ』 Eddie Costa “The House Of Blue Lights” 138
エディ・コスタ――ヴィブラフォン奏者にしてピアニスト。1957年度ダウンビート誌国際批評家投票において、ヴァイヴとピアノの2部門で最優秀新人に選出という快挙を成し遂げました。譜面に強かったため、また妻と4人の子供との生活のため、主にスタジオ・ミュージシャンとして精力的に活動したといいます。ヴィブラフォン奏者としてサイドにまわった録音が多かった彼が、ピアニストとしてのオリジナリティを発揮させた意欲的な作品。パーカッシブに繰り出されるめくるめくフレーズはとても個性的。しかし残念なことに31歳という若さで自動車事故により夭折します。本作は、その生涯に一枚だけ残されたピアノトリオ盤。
このページを読む →
エディ・ヒギンズ 『懐かしのストックホルム』 Eddie Higgins “Dear Old Stockholm” 157
スイングジャーナル誌の読者リクエスト曲による人気ピアニスト、エディ・ヒギンズのスタンダード集。企画、選曲、演奏、全てが素晴らしい。ロマンティシズム薫る数々の曲に魅せらますが、特にラストの#14 “Blame It On My Youth” 「ブレイム・イット・オン・マイ・ユース」。寝かしつけるようなタッチで、夢の中へ……。
このページを読む →
スティーブ・キューン 『オーシャン・イン・ザ・スカイ』 Steve Kuhn “Oceans In The Sky” 168
イマジネイティブなタイトルを即物的な解釈で定着させたこのジャケットはどうなんでしょう? インパクトはありますけど。ケニー・ドーハムの少しもたつくような印象のある#2 “Lotus Blossom” 「ロータス・ブロッサム」が、キレのあるキューンのピアノでアップテンポに開花します。自作の#4 “Do” は内省的なゆらめきとくつろぎに満ちた静謐な佳曲。ミロスラフ・ヴィトウス(b)のサポートもナイス。このアルバムは、アーティスティックな先鋭性とロマンティックな耽美性が絶妙にブレンドされています。
このページを読む →