リー・モーガン19歳にして貫禄すら感じさせるリーダー作。アルバム構成は1曲目にスイーツ、親しみやすい軽快な曲に、じっくり聴かせるバラード2曲を挟み込む。そしてピアノがソニクラ。デクスター・ゴードンの『GO』とよく似た兄弟のようなアルバムとして私はワンセットにしてます。録音年からいくと、こちらの方が先のようです。それにしてもリー・モーガンのトランペットは軽快によく鳴っていて、ソニー・クラークのピアノも華麗で品があります。
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カテゴリー: ワンホーンジャズ名盤
レスター・ヤング&テディ・ウィルソン 『プレス・アンド・テディ』 The Lester Young – Teddy Wilson Quartet “Pres and Teddy” 044
こういうのがお聴きになりたいのでしょう? 円熟した晩年のレスター・ヤングと優雅で品のある落ち着いたピアノを披露するテディ・ウィルソンのくつろぎの快演。超絶技巧、革新的なスタイル、研ぎ澄まされた緊張感……とは趣を異にするジャズのうまみ。気楽に味わいましょう、テナーとピアノ、ちょっと大人の遊び心を。ちなみに「PRES」(President:大統領)とはレスター・ヤングの愛称で、ビリー・ホリデイが命名したもの。彼のテナーはアメリカで一番偉大だから。
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アート・テイタム~ベン・ウェブスター・クァルテット 『アート・テイタム~ベン・ウェブスター・クァルテット』 Art Tatum – Ben Webster “The Tatum Group Masterpieces” 045
驚くほどにニュアンスに富むピアノ。アート・テイタムは視力がほとんどなかったそうですが、聴力をたよりに鍛えた驚異的なテクニックは、多くの音楽家から注目され賞賛を得ていたようです。鍵盤からよどみなく流れ出す旋律と音色。この流麗な繊細さと低く太く振動するベン・ウェブスターの男性的な響きとのコントラストが、心に深い印象を残します。#1 “Gone With The Wind” 「風と共に去りぬ」、#4 “My One Only Love” 「マイ・ワン・オンリー・ラブ」、#5 “Night And Day” 「夜も昼も」、#6 “My Ideal” 「マイ・アイディアル」など親しみのあるスタンダードをはじめ、選曲も抜群。静かにゆさぶられる狂おしさ、胸の内に溢れんばかりの余韻の疼き、ジャズとは一体何なのでしょう。
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エディ・ヒギンズ 『煙が目にしみる』 Eddie Higgins Quartet feat. Scott Hamilton “Smoke Gets In Your Eyes” 046
日本で人気の高いピアニスト、エディ・ヒギンズ。オールド・スタイルを信条とするテナー奏者、スコット・ハミルトン。二人の趣味のよい贅沢な演奏で極上のおもてなし。フレッシュで軽やかなピアノ、マッタリとコクのあるテナーの絶妙なハーモニー。馴染みのメニュー#3 “You Don’t Know What Love Is” 「あなたは恋を知らない」、#5 “Smoke Gets In Yours Eyes” 「煙が目にしみる」、#9 “When You Wish Upon A Star” 「星に願いを」のフルコースは、口当たりもよく、味わいも深い。絶品!
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キース・ジャレット 『生と死の幻想』 Keith Jarrett “Death and the Flower” 070
祭り囃子を彷彿とさせるプリミティブな演奏に始まり、スピリチュアルな響きの中で序々にスピードを増し、高揚感とともに絶頂へ――#1 “Death and the Flower” 「生と死の幻想」は奔放さと緻密さを併せ持った完成度の高い傑作です。#2 “Prayer” はチャーリー・ヘイデンとの静謐で繊細な美しさがきらめくデュオ作品。続くドラマティックな多重構造をもつ即興演奏の#3 “Great Bird” で締めくくられるこのアルバム、全編、キースの奇才の鼓動を感じます。次に紹介するのは「メメント・モリ宣言」ともとれるキース自作の詩の一部です。
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