デューク・ジョーダン 『フライ・トウ・ジョーダン』 Duke Jordan “Flight To Jordan” 174


『Flight To Jordan』――デューク・ジョーダンの不遇のアメリカ時代にブルーノートで制作されたリーダーアルバム。タイトルの「Jordan」は、彼の名前と同じアルファベットの綴りの「ヨルダン」にかけて付けられています。「冗談」のような駄洒落です。彼はミュージシャンとしての生活が一時困窮し、タクシードライバーをしてしのぐという洒落にならない有様でした。また、ジョーダン作曲の仏映画『危険な関係』の主題曲「No Problem」(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ演奏)がヒットするも、作曲者名未記載でトラブルとなり、全然「No Problem」じゃない状況になります。この曲は#6 “Si-Joya” と改題して本アルバムに収録されています。なんだか散々なエピソードばかり……。しかしその哀愁のある名曲と朴訥(ぼくとつ)とした演奏は海外では評価されており、60年代に渡欧。レコーディングでは70年代に復帰、名盤『Flight To Denmark』などを発表し活躍します。こだわりのタイトルが良かったようです。

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ポール・デズモンド 『テイク・テン』 Paul Desmond “Take Ten” 173


名曲 “Take Five” 「テイク・ファイブ」の続編、その名もズバリ#1 “Take Ten” 「テイク・テン」(共にポール・デズモンド作曲)。#5 “Black Orpheus” 「黒いオルフェ」などボサノバ調の曲もあり、全曲穏やかにくつろげる好盤です。ジム・ホール(g)も参加。ポール・デズモンドのアルトは、都会的でメロディアス、抒情的でクールな優しい音色。なんともたまらない魅力があります。

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ジェリー・マリガン 『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット』 Gerry Mulligan “Gerry Mulligan Quartet” 172


バリトンサックス奏者ジェリー・マリガンのウエストコースト ジャズを代表する名盤です。ジャケットの上から逆さに写ってるのはチェット・ベイカー。『Night Lights』とは雰囲気は違って軽快で爽やかな昼のイメージ。でもやっぱり#11 “The Nearness of You” 「ニアネス・オブ・ユー」の穏やかなバラードには聴き惚れてしまいます。

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チェット・ベイカー 『チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ』 Chet Baker “Chet Baker Sings and Plays” 171


名盤『Chet Baker Sings』の続編的内容の人気盤――ストリングスも加え、より繊細に作り込まれたムーディな魅力が楽しめます。トランペットは苦手で……という方もチェットの優しい音色は是非一聴を。ドキュメンタリー映画『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』も公開された、ジャズメンを撮り続けた写真家ウィリアム・クラクストンによるジャケットも素敵です。

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オスカー・ピーターソン 『ダフード』 Oscar Peterson “Paris Jazz Concert” 170


2007年12月23日、「鍵盤の皇帝」逝く――このアルバムは「The Trio」と呼ばれたオスカー・ピーターソン・トリオ60年代の絶頂期のライブ録音を集めたもの。#1 “Daahoud” 「ダフード」から驚異的な超絶技巧が炸裂します。指使いは勿論のこと、この速さをコントロールしている脳は一体どうなっているのでしょう。その他にも#6 “Satin Doll” 「サテンドール」や#11 “You Look Good To Me” 「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」など人気ナンバーが楽しめ、演奏の録音状態もよく、また観客の沸く臨場感も味わえます。彼の演奏は聴く人々を幸せにしてくれます。最後となった来日コンサートの思い出は一生の宝です。心よりご冥福をお祈りいたします。

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