リー・モーガン 『リー・モーガン Vol.3』 Lee Morgan “Lee Morgan Vol.3” 052


天才トランペッターのクリフォード・ブラウンの早すぎる死を悼んでベニー・ゴルソン(ts)が作曲した#3 “I Remember Clifford” は、しっとりとしたメロディーが心に沁みるレクイエム。このアルバムの全曲、ゴルソン作曲。この名演を残したもう一人の天才トランペッターのリー・モーガンも若くして亡くなることに……。

ある雪の日、ライブの休憩中に彼と愛人ヘレンが口論になった末、一発の銃声。前のめりに倒れ込んだリー、一瞬の自失状態から覚めたヘレンは泣き叫んでいます。彼女が銃で撃ってしまったのです。雪のため遅れて到着した救急車でなんとか病院へ運ばれましたが、彼は帰らぬ人となってしまいました。

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アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』 Art Blakey & The Jazz Messengers “Complete Concert At Club Saint Germain” 062


まさか「モーニン」を「朝」だと思っていませんか? 「moan」とは「うめく」という意味です。[disc1]#5にその「モーニン」も収録されているこのサンジェルマンでのライブ盤は凄い。選曲よし、メンバーよし、まさにノリにノってる演奏なのですが、刺激された聴衆も熱狂、ライブは興奮のるつぼと化します。おそらく録音スタッフか誰かの「シー!」という注意も聞かず、抑えられなくなった観客がヤンヤヤンヤの大騒ぎ、その様子が生々しく収録されています。曲名にもクレジットされている「Hazel」とは、ひときわ大きな声で盛り上げているヘイゼル・スコットという女流ピアニストだそうです。全曲、ムンムンとした熱気に大興奮のライブ盤。最高!

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アート・ブレイキー 『バードランドの夜』 Art Blakey Quintet “Night at Birdland Vol.1 ,Vol.2” 064



1954年2月21日の夜、ジャズクラブ バードランド。ここでのライブ録音がハードバップの誕生、そしてジャズ・メッセンジャーズの結成へと歴史的に重要な意味をもつことになります――このクラブの名物司会者ピー・ウィー・マーケットのかん高い独特の声のアナウンスに導かれ演奏がスタート。順調な滑り出し、各メンバーが高水準の演奏を難なくこなしていく……、何だか完璧すぎて空恐ろしくなるほど。それぞれが気負っている感じがまったくなく、流れるように至上の演奏を展開していく様は、バードランドにジャズの神様が舞い降りたよう――

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チャーリー・ミンガス 『直立猿人』 Charles Mingus “Pithecanthropus Erectus” 068


「ピテカントロプス・エレクタス」、邦題は「直立猿人」とインパクトのあるタイトル曲#1は、「人類の進化と滅亡」というテーマをフリーキーな即興演奏で野性的に表現しています。ジャッキー・マクリーン、J.R.モンテローズ、マル・ウォルドロンなどのメンバーもそれぞれ強烈な個性をぶつけ合うように発揮していますが、一方で全体的な一体感もあるという逆説的な演奏はユニーク。調和と不調和のせめぎあう緊張感と噴出するようなジャズの生命力に魅せられます。

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ローランド・カーク 『ウィー・フリー・キングス』 Roland Kirk “We Free Kings” 069


まず、ジャケットをよくご覧いただきたい。頑丈そうな黒眼鏡、首からは無数の吹奏楽器をかけ、口には3本のマウスピースを咥えています。その一見奇抜な演奏スタイルは、ジャズに対する旺盛な欲求の純粋なる発露で、彼のアイデンティティそのものです。ユーモアや歌心に溢れた人間味のある演奏は、ストレートに胸に迫り、何よりもバイタリティのあるたくましさが清々しい。#8 “You Did It, You Did It” のうめき声が漏れるほどに激情がほとばしるフルートにしびれます。

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