ジャンゴ・ラインハルト 『ジャンゴロジー』 Django Reinhardt “Djangology” 084


とにかく、アーリージャズだからと倦厭しないで聴いてみてください。懐かしく切ないギターとヴァイオリンが奏でる哀愁……たまらないですよ。ジャンゴ・ラインハルトは、父はヴァイオリン弾き、母は歌手で踊り子というジプシーの芸人一家に生まれ、欧州を巡る旅から旅へのキャラバン生活で育ちました。10歳の頃よりパリでミュージシャンと交流が始まり、アメリカのジャズに惹かれギターを志すようになります。キャラバンの火事で左手の指2本が動かなくなるという不幸も克服し、人気を獲得。このアルバムは、ステファン・グラペッリ(ヴァイオリン)など気心知れた仲間とステージ開演前に録音されたものだとか。ヨーロッパ特有の品のあるスウィングを是非お試しあれ。

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デクスター・ゴードン 『アワ・マン・イン・パリ』 Dexter Gordon “Our Man in Paris” 085


ぶっきら棒なテナー、ドラムはせわしなく落ち着かず、バド・パウエルのピアノは何故か弱々しい。でも、妙なアンバランスさと荒削りな演奏は不思議なインパクトで聴かせます。デクスター・ゴードンとバド・パウエルは、50年代に麻薬に苦しみ、60年代のこの時期は共にヨーロッパに身を寄せ、心機一転復活を遂げます。つらい時期を経験したせいでしょうか、このアルバム、聴き込むと何か超越した凄みを感じさせます。#7 “Like Someone in Love” 「ライク・サムワン・イン・ラブ」のテナーなしのボーナストラックはとてもいいんだけど、これってあり?

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ブルー・ミッチェル 『ブルーズ・ムーズ』 Blue Mitchel “Blue’s Moods” 087


陽光に輝くトランペット、真っ直ぐにどこまでものびてゆくフレージング。ブルー・ミッチェルのトランペットには、陽の光を浴びてジーンと肌にぬくもりを感じるような心地よさがあります。例えば、マイルス・デイビスの音色が張り詰めた闇だとしたら、ブルー・ミッチェルのそれは朗らかな光でしょう。彼の光を受けてウィントン・ケリーも輝きを増す#1 “I’ll Closed My Eyes” 「アイル・クローズ・マイ・アイズ」が素晴らしい。

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エディ・ヒギンズ 『魅惑のとりこ』 Eddie Higgins “Bewitched” 090


洗練された大人の色香――ジャズのジャケットはかくあるべきでしょう。「枯葉」といえば『Portrait in Jazz』でのビル・エヴァンスの名演が思い浮かびますが、このエディ・ヒギンズの曲目を見るとエヴァンスのレパートリーを思わせます。ヒギンズの方がよりテクニカルで、華麗な印象です。そして#13 “Autumn Leaves” 「枯葉」。私はこれをエヴァンス・スクールの一つの完成形としてお勧めします。全体を貫く木枯らしのような疾走感、クラシックのような華やかな格調もあり、枯葉が散る様の描写から恋焦がれる情感の表現まで、極めて完成度の高い名演です。上質なジャズの芳醇な香りを堪能してみては如何でしょう。

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マッコイ・タイナー 『バラードとブルースの夜』 McCoy Tyner “Nights of Ballads & Blues” 100


夜にジャズは良く似合う――収録当時、ジョン・コルトレーンの黄金カルテットで人気を博していたマッコイ・タイナーのバラッドとブルースのトリオ盤。コルトレーンの『Ballads』のヒットを受けての録音でしょうか。マッコイの品のあるくつろぎに満ちたピアノがゆったりと堪能できます。静かな夜、ダウンライトの灯りでジャズを聴く。「ジャズっていいなぁ……」としみじみと感じる至福のひと時であります。

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