デクスター・ゴードン 『アワ・マン・イン・パリ』 Dexter Gordon “Our Man in Paris” 085


ぶっきら棒なテナー、ドラムはせわしなく落ち着かず、バド・パウエルのピアノは何故か弱々しい。でも、妙なアンバランスさと荒削りな演奏は不思議なインパクトで聴かせます。デクスター・ゴードンとバド・パウエルは、50年代に麻薬に苦しみ、60年代のこの時期は共にヨーロッパに身を寄せ、心機一転復活を遂げます。つらい時期を経験したせいでしょうか、このアルバム、聴き込むと何か超越した凄みを感じさせます。#7 “Like Someone in Love” 「ライク・サムワン・イン・ラブ」のテナーなしのボーナストラックはとてもいいんだけど、これってあり?

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ジャンゴ・ラインハルト 『ジャンゴロジー』 Django Reinhardt “Djangology” 084


とにかく、アーリージャズだからと倦厭しないで聴いてみてください。懐かしく切ないギターとヴァイオリンが奏でる哀愁……たまらないですよ。ジャンゴ・ラインハルトは、父はヴァイオリン弾き、母は歌手で踊り子というジプシーの芸人一家に生まれ、欧州を巡る旅から旅へのキャラバン生活で育ちました。10歳の頃よりパリでミュージシャンと交流が始まり、アメリカのジャズに惹かれギターを志すようになります。キャラバンの火事で左手の指2本が動かなくなるという不幸も克服し、人気を獲得。このアルバムは、ステファン・グラペッリ(ヴァイオリン)など気心知れた仲間とステージ開演前に録音されたものだとか。ヨーロッパ特有の品のあるスウィングを是非お試しあれ。

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キース・ジャレット 『マイ・ソング』 Keith Jarrett Quartet “My Song” 083


現在では、ジャズのスタンダードに新鮮な解釈で、新たな息吹を吹き込み続ける、スタンダーズ・トリオとして有名なキース・ジャレット。でも、70年代までの彼は、独創的なオリジナルを中心に演奏していました。本作は、まさにその頃の躍動的なリズム、美しいメロディー、叙情的な雰囲気に包まれたアルバムです。特に#4 “Country” は、ヤン・カバレクの哀愁を帯びたソプラノサックスの音色に、光さすようなピアノの旋律がすばらしく、私は何度聴いたか知れません。

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マイルス・デイビス 『死刑台のエレベーター』 Miles Davis “Ascenseur Pour L’Echafaud (Lift To The Scaffold)” 082


マイルス・デイビスが映画のラッシュを観ながら即興で演奏し、音楽をつけたというもはや伝説の映画『死刑台のエレベーター』。何かが起こりそうな不穏な雰囲気をかもし出すトランペットの音色は、ジャズのスタイリッシュな魅力を引き出したと言えるのではないでしょうか。自身もジャズを演奏した小説家ボリス・ヴィアンは次のように語っているそうです。

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シェリー・マン 『マイ・フェア・レディ』 Shelly Manne “Modern Jazz Performances Of Songs From My Fair Lady” 081


現在では、クラシックの指揮者、ピアニストとして有名なアンドレ・プレビンのジャズピアノが冴え渡るグルーヴィーなトリオ盤。舞台のミュージカル『マイ・フェア・レディ』の楽曲をジャズにするというコンセプトが素晴らしい。映画で原曲を知っているとかなり楽しめます。当時このアルバムは、ミリオンセラーを記録したとか。

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